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2022年(令和4年)2月の星空 節分と立春、金星が最大光度。スノームーン。

2022年2月の星空

夜の早いうちから冬の大三角を含めた冬の星座を見ることができ、「南極老人星」の名もある「カノープス」を見るチャンスでもあります。夜明け前の金星は13日に最大光度となります。また水星が夜明け前の南東の空で西方最大離角となります。28日には夜明け前の南東の空で、月、金星、火星、水星の大集合となります。17日は満月で「フル・スノームーン」の名前もあります。暦では2月3日が節分、4日が立春、19日が雨水です。

 

2月3日 節分

節分とは「季節を分ける」の意味があり、各季節のはじめである、「立春、立夏、立秋、立冬」の前日をさして呼びます。年4回節分はあるのですが、江戸時代以降は節分といえば一般には立春の前の節分のことをさして呼ぶようになりました。雑節のひとつでもあり季節の変わり目を感じるのが節分ですが立春前の節分は冬の気候がいちばん厳しい頃でもあります。

立春前の節分は「大晦日」の意味もありました。旧暦のときは立春にいちばん近い新月の日を正月元日(2020年は2月12日)としてどちらも新年の意味がありましたので(今でも正月に「新春」という言葉を使います。)旧暦での大晦日、12月末日と立春前の節分はどちらも年越しの日という意味があったのです。これは言い換えると月の満ち欠けからの新月(朔)にあたる旧正月前日の12月末日と太陽の位置(黄経)からの立春前日の節分が同じ意味を持っていたということにもなります。今も節分を年越しと呼ぶ地域もあります。

節分には季節の変わり目と年の変わり目という意味で邪気を払う行事が行われてきました。季節の変わり目という意味の邪気と一年の邪気を払って新年を迎えようという意味があるとされてきました。邪気は鬼(陰)とされ鬼を追い払うということで「福は内、鬼は外」という声で豆まき(福豆)をする習慣がそのひとつです。室町時代の宮中での記録もある古い風習で、豆は「魔目をつぶす」または「魔滅」という語呂合わせからきているという説、穀物には生命の力と魔除けの力があるとされていたという説などがあります。また掛け声も違うところがあり、近鉄南大阪線、吉野線の奈良県吉野郡吉野町の金峯山寺(きんぷせんじ)ではかつて役行者(えんのぎょうじゃ)が鬼を改心させて弟子にしたという故事から「福は内、鬼も内」という掛け声となっており、そのほかにも鬼を祭ったり「方違」をしている寺社にも同様に「福は内、鬼も内」(鬼がいる方角はないという意味もあります)という掛け声が残っています。

豆はまくという風習と歳の数だけ食べる(もしくは歳の数にひとつ足して食べる)という風習もあります。これはまめに暮らせるという語呂合わせと、生まれたときを1歳とし年が変わるとき(元日)に歳を1つとるという「数え年」からきているという説もあります。

関西では焼嗅(やいかがし)という柊の枝の先に鰯の頭を刺したものを玄関にさしておく風習もあります。鬼が柊の棘と鰯を焼いた臭いをきらうという意味があるそうです。他の地方でも柊と鰯を玄関先に掲げる習慣はあるようです。私が子どもの頃は近所ではよく見られました。

同じく関西から広がったと言われるものに「恵方巻(えほうまき)」があります。これは大阪の寿司屋さんから広まったと言われますが、太巻きの巻き寿司をその年の恵方を向いて絶対に言葉を発せずに黙ったままで丸かぶり(切らずにまるごと食べる)するというものです。関西ではコンビニなどでも季節のものとして広がっています。ちなみに本年2021年(令和3年)の恵方は壬(みずのえ)の方角で現在の方角表記ではほぼ北北西にあたります。

節分の日付

節分は昨年2月2日では?という方も多いのではないでしょうか。今のカレンダー(グレゴリオ暦)では節分の日はそうそう変わらないはず、というのも一昨年まで立春の日がずっと2月4日だったからです。1985年から2020年までは閏年に関わらず2月4日が立春でした。1984年までは閏年の年に立春は2月5日が立春で2月4日が節分だったのです。そして2021年からは閏年の翌年が立春が2月3日、節分が2月2日となり、それ以外は立春が2月4日、節分が2月3日となります。このパターンは2054年まで続きます。

立春は太陽の位置(黄経)から決まります。毎年1年365日たつと同じ位置に来るのですがこの1年が正確には365.242189日なのです(1太陽年)この端数の0.25として4年に1度閏年を設けて調整しますが0.007811日分早くなる時間が蓄積され、37年分たまったことにより1日ずれることになったのです。ちなみに節分が2日(つまり立春が3日)になるのは1897年、明治30年から124年ぶりのことになります。また立春が早まったことで雑節も八十八夜、二百十日など1日早まるものが出てきます。

 

2月3日 月と木星がならぶ。

夕方の南西の空低く、月と木星がならびます。木星はもうかなり低く見ごろをすぎています。

2022年2月2日~3日夕方南西の空

2022年2月2日~3日夕方南西の空(印刷用)

 

2月4日 立春

天文学では太陽の位置、黄経が315°になるとき(5:51)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。春の気配が立始めるころとされています。正月節でもあります。季節ではこの日から立夏の前日までが春とされています。これは元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがあります。日本ではこの頃が寒さがいちばん厳しくなり、大雪のピークにもなることもこの頃です。

また立春から雨水の前日までの期間を立春と呼ぶことがあります。名前は立春ですが日本では冬真っ最中というところです。

立春から春分までの期間でその年初めて吹く南寄りの強い風のことを「春一番」と呼びます。春の訪れを告げる風と一般にはよく言われますが、実際は日本海側を通過する低気圧によってもたらされた強い風で、南の高気圧から来る風なので一時的に暖かい風が吹きます。しかし多くの場合前線を伴いその後は気温が下がり「寒の戻り」となることが多いのも春一番です。また北海道、東北、沖縄では春一番は観測されず、その他の地方も各気象台によって観測されないこともあります。また言葉では春の訪れを告げるといういいイメージがありますが、実際には強風による山岳での遭難、海上での海難事故も多く、1978年(昭和53年)2月28日には関東地方で発生した竜巻により地下鉄車両が橋梁で脱線転覆し、大きな被害を出したこともあります。

 

2月11日ごろ(2月中旬ごろ)午後9時ごろにカノープスが見える

カノープスはりゅうこつ座の1等星(正確には0等星)でおおいぬ座のシリウスに次いで、全天で2番目に明るい恒星です。(太陽を入れると3番目になりますが・・・)りゅうこつ座は南天の星座でカノープスは日本本土が見える北限になります。見えるのは東北南部より南の地域です。南中高度は大阪南部で3度、東京では2度弱という低さです。しかし高い山に登って見ると思ったよりも高く見えます。もちろん南側が開けた場所で観察しましょう。このときだけに見えるというわけではないのですが午後9時という比較的見えやすい時間に南中(南にもっとも高く見える)するので見るチャンスです。

2021年2月のカノープス

2021年2月のカノープス(印刷用)

カノープス(Canopus)はギリシャ神話の中のトロイア戦争に出てくる水先案内人の名前がもとになっているとされています。水平線すれすれに見える姿はまさに案内人といったところでしょうか。中国では「南極老人星」と言われ、この星を見れば平安で健康で長生きできる長寿星とされていました。

実際に見えた!記事はこちら!

カノープスが見えた!!@大阪府富田林市2019/2/26 19:43

 

目印となるシリウスの伴星(シリウスB)も見るチャンス

10cm以上の口径のある望遠鏡をお持ちでしたらシリウスに向けてみましょう。「伴星」シリウスBを見ることができるかもしれません。シリウスはABふたつの恒星による連星でふだん見えている光(-1.46等)はほぼシリウスAのものです。シリウスの伴星であるシリウスBは光度が8.44等とはるかに暗く、シリウスの近くに位置しているため観察が難しいのです。しかしシリウスBの軌道は地球側から見て楕円形をしており、シリウスAに近いときと遠いときがあります。周期は50.1年で2021年はシリウスAに対して比較的遠い位置にあります。観察のチャンスでもありますので望遠鏡をお持ちでしたらぜひ肉眼で見えるかどうか見てみましょう。

2021年のシリウス

2021年のシリウス(印刷用)

シリウスBは白色矮星と呼ばれる小さな恒星で直径は地球くらいしかありません。ちなみに太陽は直径が地球の109倍あります。シリウスAは太陽のさらに1.7倍あります。もともとはシリウスBの方が大きかったのですが早々に寿命を迎え、赤色巨星になりガスが放出され中心に残った白色矮星だけになってしまったのです。

 

2月13日 金星が最大光度

夜明け前の金星が最大光度(マイナス4.9等)になります。ほぼマイナス5等という明るさで、明けの明星が夜明け前にギラギラと輝きます。近くに火星や水星も見えますので比べてみるのもいいでしょう。

2022年2月13日金星が最大光度

2022年2月13日金星が最大光度(印刷用)

 

 

2月17日 水星が西方最大離角

水星が太陽から西側にいちばん離れた位置、西方最大離角の位置となります。金星と水星は地球より太陽の内側をまわる「内惑星」ですが東側と西側に離れた位置が見えやすくなります。金星は離角が大きいので最大離角を気にしなくても観察できますが、水星は離角が小さいので普段は観察しにくく、この最大離角前後が観察のチャンスとなります。西方最大離角のときは太陽から見て西側に離れるので、夜明け前の東の空低く見えます。

水星、金星の位置と見え方

水星、金星の位置と見え方(印刷用)

2022年2月17日水星が西方最大離角

2022年2月17日水星が西方最大離角(印刷用)

 

 

2月17日、満月(Full Moon)「Full Snow Moon(フル・スノー・ムーン)」!

「Full Snow Moon(フル・スノー・ムーン)」

北米ネイティブ・アメリカンの部族では2月の満月を「Full Snow Moon(フル・スノー・ムーン)」と呼ばれます。これは名前のとおり大雪が降ることが多い月だからです。生活にも厳しい月ということで次の呼び名があります。

「Full Hunger Moon(フル・ハンガー・ムーン)」

これは飢餓月というちょっと怖い名前ですね。しかしネイティブ・アメリカンの一部の部族に呼ばれた名前です。ネイティブ・アメリカンは自然の影響で生活しています。もちろん穀物の収穫から日が経っています。しかしいちばんの理由はハンティング、狩りが難しくなっている月ということです。そんな厳しい月という意味があります。

「Full Storm Moon(フル・ストーム・ムーン)」

ネイティブ・アメリカンの他の部族では冬の嵐が起きる月ということでこの名前があります。日本でも同じく北半球で冬嵐(または春一番)がよく起きますね。

 

 

 

2月19日 雨水

天文学では太陽の位置、黄経が330°になるとき(1:43)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。雪から雨に変わるころ、または雪解けが始まるころとされています。正月中でもあります。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがあります。日本ではまだまだ寒さが厳しく、雪の季節です。

また雨水から啓蟄の前日までの期間を雨水と呼ぶことがあります。まだまだ春を迎えるには日本では早すぎますが「春一番」が吹く頃ではあります。日本海を通過する低気圧と南の高気圧によってもたらされるものですが、そのしくみは冬嵐と似ておりすぐに寒の戻りとなることが多いのです。

 

 

2月28日 月と金星、火星、水星がならぶ。

夜明け前の南東の空低くですが月、金星、火星、水星、さらに低く土星と大集合になります。

2022年2月27日~28日南東の空

2022年2月27日~28日南東の空(印刷用)

 

2月の情報(満月の詳細は上記)

1日 新月.朔(New Moon)
2日 二日月(Paper Moon)
3日 三日月(Waxing Crescent Moon)
8日 上弦(First Quarter Moon)
13日 十三夜(Waxing Gibbous Moon)
17日 満月(Full Moon),望(Full Wolf Moon)
16日 十六夜(暦ではこうなります)
17日 立待月
18日 居待月
19日 寝待月

20日 更待月

24日 下弦

28日前後 有明の月(Waning Crescent Moon)

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