2020年7月の星空
5日の満月は「フル・バック・ムーン」ともよばれます。またインドでは「グル・プルニマ」という祭日です。木星と土星が衝の位置になり、これからがいよいよ観望の好機です。23日には水星が西方最大離角となり、夜明け前の東の空でみつけるチャンスです。
5日の満月(Full Moon)「Full Buck Moon(フル・バック・ムーン)」その他多数の呼び名が!今月はインド「グル・プルニマ」!
「Full Buck Moon(フル・バック・ムーン)」
北米ネイティブ・アメリカンでは「Full Buck Moon(フル・バック・ムーン)」「雄鹿月」と呼ばれます。意味は雄鹿の新しい角が生えてくる時期だからです。ビロードのような皮を押して新しい枝角が生えてくる季節ということです。日本とは種が違いますからちょっと理解しにくいかもしれません。野生の雄鹿(Buck)の月です。
別名、「Full Thunder Moon(フル・サンダー・ムーン)」,「Full Hay Moon(フル・ハイ・ムーン)」「Full Mead Moon(フル・ミード・ムーン)」「Full Honey Moon(フル・ハニー・ムーン:ハネムーン)」「Full Rose Moon(フル・ローズ・ムーン)」「Guru Full Moon(グル・フル・ムーン)」「Guru Purnima(グル・プルニマ)」
「Full Thunder Moon(フル・サンダー・ムーン)」
これは雷の月です。北米では暑く乾燥した月なのですがその割りに激しい雷雨が発生する頻度が高いのがこの7月です。この名前も北米大陸の気候を表した月の名前です。日本では7月下旬ごろに積乱雲がよく発生し、龍神祭もこの時期にあります。
「Full Hay Moon(フル・ハイ・ムーン)」
これは「干草月」です。北米とヨーロッパでは乾燥した月、干草の月でもあります。農家の間では当然この名前ということなのですが、一般にもしられていているそうで、それが驚いたのですが・・・「干草アレルギーの季節」として知られているそうです。日本で言えば「花粉症の季節」といったところでしょうか?この知られ方には・・・う~ん複雑ですねぇ・・・。
「Full Mead Moon(フル・ミード・ムーン)」
Meadとは「蜂蜜酒」で蜂蜜やホップ、スパイスなどで造られます。ヨーロッパでは6月下旬ごろにもっとも甘い熟したハチミツが獲れることから、この時期にMeadが造られるということです。(私は飲んだことありませんが・・・)熟した甘いハチミツからこの蜂蜜酒が造られる時期の月という意味だそうです。
「Full Honey Moon(フル・ハニー・ムーン)」
Honey Moon(ハニームーン:ハネムーン)は「蜜月」とも呼ばれますが、甘い新婚生活、新婚旅行の意味で使われる言葉です。本来、ヨーロッパでは夏至の頃、6月下旬ごろに最も甘い蜂蜜が収穫できるのでこの夏至の時期をさしていたらしいのですが、一説によると「June Bride(ジューン・ブライド)」と関係し、結婚して最初に訪れる月、7月を「Honey Moon」と呼ぶようになったそうです。甘いハチミツが熟した頃と考えるとなるほど!となります。
「Full Rose Moon(フル・ローズ・ムーン)」
あれ?この名前は6月では?と思うかもしれません。実はバラの花の意味もありますが、バラの花のように赤く見える月という意味もあります。緯度の高い地域は夏至の頃に月の高さが最も低くなります。夕日が赤く見えるのと同じ理由で、この時期少し赤く見えることから、ヨーロッパの緯度の高い地域では、7月の満月もこう呼ばれることがあります。またヨーロッパでは6月下旬から7月にかけて野生のバラの季節にあたるのでやはりこれも理由になります。
「Guru Full Moon(グル・フル・ムーン)」「Guru Purnima(グル・プルニマ)」
これはインド・ネパールのジャイナ教・ヒンドゥー教の呼び名で、「教祖満月」「導師満月」という神聖な満月だそうです。Ashadhaというヒンドゥー暦の満月が「Prunima」でこの日に祭日とされているそうです。Guru Pooja(教祖プージャ)、「導師」を讃える神聖な祭日の満月(Prunima)です。また、ジャイナ教では特にマハヴィーラがゴータマを弟子とし、自らを「グル」としたこと、また仏教でもゴータマ・シッタルーダ(ブッダ)へのオマージュ、仏教開祖の日とされ重要な満月です。
今年はカレンダーでも5日が「グル・プルニマ」です。満月は日本時間では5日の13時44分ですがインドの時差はマイナス3時間30分、ネパールの時差は3時間15分!【時差(標準時)は1時間ごとではないんです!】つまり5日の夜から6日にかけての夜が満月の夜となります。グル・プルニマは満月になる時刻まで計算して決められます。ちなみに「グル・プルニマ」の発音は「ニ」にアクセントをつけてインドの方は発音されていました。
5日、木星と月がならぶ。6日、月と土星がならぶ。
2020年7月5日から6日にかけて、月、木星、土星がならびます。午後9時ごろから夜明け前まで見ることができます。
7日 七夕
今のカレンダーでは7月7日の七夕は梅雨の最中となってしまいますが、本来の七夕(旧暦の七夕)は初秋の行事でした。中国から伝わった行事で、中国の南北朝時代の記述にも牽牛、織女が合うと記述され、針仕事の上達を願って7本の針に糸を通して供えたとされています。日本に伝わったのは奈良時代で、日本にもともとあった棚機津女(たなばたつめ)の伝説と合わさったものと言われています。これも本来は旧暦7月15日の「お盆」の行事と関連するものといわれています。
また現在のカレンダーでは織姫(こと座のベガ)、彦星(わし座のアルタイル)が天頂付近に見えるのは夜中であるため、各地の神事は7日未明に行われるものが多くなっています。
10日、金星が最大光度
10日金星が最大光度(マイナス4.5等)となり、夜明け前の東の空で「明けの明星」として輝きます。
14日、木星が衝。21日、土星が衝
木星、土星が地球からみて太陽と反対側になります。夕方は東の空に、夜中に真南に高く、夜明け前に西の空にとほぼ一晩中見ることができます。夜中に南の空高く見えるので望遠鏡などでの詳しい観察のチャンスでもあります。天体観望会は夜中ではなく宵のうちに行われることが多いため、衝より後、東矩あたりに見ごろとなります。
20日ごろ ネオワイズ彗星(C/2020 F3)が明るくなる?
ネオワイズ彗星(C/2020 F3)が明るくなっています。新月となる21日前後がチャンスとされています。明るさは3等~4等と予想されていますが、近日点を迎えたあと、明るくなっているか、暗くなるかは不明です。見えるなら夕方北西の空低くになります。
23日、水星が西方最大離角
7月23日夜明け前の東の空で水星が西方最大離角となります。夜明け前の東の空で水星をみつけるチャンスです。この日には少し高くに金星もみることができます。
水星は太陽に近くみつけにくい星です。西方最大離角のときは、夜明け前の東の空でみることができます。
30日午前8時ごろ、みずがめ座δ(デルタ)南流星群とやぎ座α(アルファ)流星群が極大(ピーク)
30日午前8時ごろ、みずがめ座δ(デルタ)南流星群とやぎ座α(アルファ)流星群が極大(ピーク)となります。それぞれ1時間あたりの数は数個~十数個程度ですがほかの流星群とあわせればかなり多くの流星を見るチャンスとなります。今年は翌日の8月4日が満月で、明かりの影響があります。月が沈むのは翌午前2時ごろですので、深夜帯であまりお勧めしにくいのですが、31未明が見ごろとなりそうです。
30日の夜中には放射点(輻射点)が東の空から昇ります。放射点(輻射点)から各方角に飛んでいくように見えますので、できるだけ広い範囲を見るようにしましょう。月が沈む31日夜明け前がいちばんのチャンスです。特にやぎ座α(アルファ)流星群は数は少ないものの、明るい流星が出現するので市街地でも見えるときがあります。
7月の情報(満月の詳細は上記)
- 3日 十三夜(Waxing Gibbous Moon)
- 5日 十五夜
- 5日 満月(Full Moon),望(Full Buck Moon<Guru Purnima>…)
- 6日 十六夜※旧暦ではこうなります。
- 7日 立待月
- 8日 居待月(Waning Gibbous Moon)
- 9日 寝待月
- 11日 更待月
- 13日 下弦(Last Quarter Moon)
- 20日前後 有明の月(Waning Crescent Moon)
- 21日 新月.朔(New Moon)
- 22日 二日月(Paper Moon)
- 23日 三日月(Waxing Crescent Moon)
- 27日 上弦(First Quarter Moon)