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2023年(令和5年)8月の星空 土星、水星、旧七夕、今年のペルセウス座流星群は?ブルームーン

2023年8月の星空

10日には水星が東方最大離角となり観察のチャンスとなります。28日に土星が衝の位置となり望遠鏡での観測の好機となります。月は3日に土星と、9日に木星とならびます。13日17時にはペルセウス座流星群がピークを迎え、今年は夜明け前に細い月が東の空で月明かりの影響があまりありません。またはくちょう座κ流星群も期待できます。2日の満月は「フル・スタージョン・ムーン」ともよばれます。また8月31日にはもう一度満月があり、「ブルームーン」と呼ばれます。暦では今年の旧七夕(伝統的七夕)は22日です。8日が立秋、23日が処暑です。

 

8月2日 満月(Full Moon)「Full Sturgeon Moon(フル・スタージョン・ムーン)」その他多数の呼び名が!「スコッチ・ウィスキー」と関係ある月?

2020年8月4日の満月

「Full Sturgeon Moon(フル・スタージョン・ムーン)」

北米ネイティブ・アメリカンの部族では「Full Sturgeon Moon(フル・スタージョン・ムーン)」「チョウザメ月」と呼ばれます。意味は大きなチョウザメの仲間の「Sturgeon(スタージョン)」が湖や河川で捕獲できる時期だからです。ただこの魚は乱獲により絶滅危惧種となっています。北米大陸、内陸魚では最大の魚類でもあります。

別名、「Full Red Moon(フル・レッド・ムーン)」,「Full Green Corn Moon(フル・グリーン・コーン・ムーン)」「Full Fruit Moon(フル・フルーツ・ムーン)」「Full Barley Moon(フル・バーレイ・ムーン)」「Full Grain Moon(フル・グレイン・ムーン)」

「Full Red Moon(フル・レッド・ムーン)」

これは赤く見える月です。やはり月の通り道、白道が低く、夕日のように少し赤い月が見えることを呼んだ名前です。北米や北欧では特にこう見えるそうです。

昇る赤い月(2019年6月19日)

「Full Green Corn Moon(フル・グリーン・コーン・ムーン)」

これもネイティブ・アメリカンで、コーンが緑色に高く伸び、このグリーン・コーンの上に輝く月という意味です。収穫前に高く伸びたトウモロコシの月です。

「Full Fruit Moon(フル・フルーツ・ムーン)」

これは欧州が元になっているようですが、果実の収穫の時期ということでこの名前が伝えられています。確かに短い夏の果実の収穫時期でもあります。

「Full Barley Moon(フル・バーレイ・ムーン)」「Full Grain Moon(フル・グレイン・ムーン)」

これはイギリスが元になっているようです。大麦(Barlry)の収穫の時期ということでこの名前が伝えられているようです。穀物(Grain)収穫の月という意味です。スコットランドではこの収穫された大麦やグレーンから「スコッチ・ウィスキー」が生まれます。

 

8月3日 月と土星がならぶ

夜遅くから翌日の夜明け前にかけて、月と土星がならびます。

2023年8月1日~4日夜遅くの南東の空

2023年8月1日~4日夜遅くの南東の空(印刷用)

 

8月8日 立秋

天文学では太陽の位置、黄経が135°になるとき(03:23)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。夏が極まり秋の気配が立ち始める日とされ、7月節でもあります。旧暦では7月から9月を秋としていました。これは中国から伝わったものですから日本では気候でも感覚でもずれがあります。日本ではまだ猛暑の季節であり、立秋からの暑さを「残暑」と呼びます。「暑中見舞い」もこの立秋以降は「残暑見舞い」となります。また気候でも、この日までに梅雨が明けない場合、梅雨明けの発表はされず、「梅雨明けなし」となります。

また立秋から処暑の前日までの期間を立秋と呼ぶことがあり、初秋の頃となります。また7月節以降が旧暦の秋でもあり、沖縄県では旧暦7月15日のお盆、盂蘭盆会とあわせ「エイサー」の起源とされ、戦後はこの立秋、7月節以降に盛んに行事として行われるようになりました。

 

8月9日 月と木星がならぶ

未明の東の空で月と木星がならびます。

2023年8月7日~11日未明の東の空

2023年8月7日~11日未明の東の空(印刷用)

 

 

8月10日 水星が東方最大離角

水星が太陽から東側にいちばん離れた位置、東方最大離角の位置となります。金星と水星は地球より太陽の内側をまわる「内惑星」ですが東側と西側に離れた位置が見えやすくなります。金星は離角が大きいので最大離角を気にしなくても観察できますが、水星は離角が小さいので普段は観察しにくく、この最大離角前後が観察のチャンスとなります。東方最大離角のときは太陽から見て東側に離れるので、夕方の西の空低く見えます。

水星、金星の位置と見え方

水星、金星の位置と見え方(印刷用)

2023年8月10日夕方の西の空

2023年8月10日夕方の西の空(印刷用)

 

8月13日午後5時 ペルセウス座流星群が極大(ピーク)

毎年、この頃にピークになり、話題になる「ペルセウス座流星群」ですが、今年は8月13日午後5時ごろが極大(ピーク)と予想されます。昼間にピークがきてしまい、当日は16日が新月ということで月明かりの影響があまりありません好条件で見ることができます。

2023年8月13日未明のペルセウス座流星群

2023年8月13日未明のペルセウス座流星群(印刷用)

 

8月18日 はくちょう座κ(カッパ)流星群が極大(ピーク)

午後8時ごろにピークと予想されます。この流星群は多くても1時間あたり数個という数はあまり多くありません。しかし明るい流星が多く、火球もみられることがあることで知られています。またペルセウス座流星群を観測中に、この流星群の明るい流星が見られることもあります。7年周期で活発になることが知られていて2021年がその年でした。今年は16日が新月という月の条件は良い年です。

 

8月22日、「旧七夕」「伝統的七夕」

8月22日は旧暦の7月7日、七夕の日です。今は暦(カレンダー)が変わりましたが、昔の七夕はこの頃だったのです。今のカレンダーでは梅雨の最中になって星の祭りとは合わなくなてしまいます。2019年は8月7日でちょうど新暦と1か月の差でしたが、2023年(令和5年)は旧暦2月の後に閏(うるう)2月があったので(閏月があったので)新暦8月22日、8月下旬となりました。もう秋が近いのでは?と感じるかもしれませんが、それで正解!旧暦では7月~9月が秋なので、七夕とは「秋」の行事なのです。俳句や短歌でも重要な「季語」でも七夕は初秋の季語になっています。今年は8月22日、この頃は晴天率が高く、ちょうど暑い盛りですが中国の内陸部の気候ではそろそろ涼しさを感じ始める頃ということで秋の行事とされています。また七夕にはお盆と関連がある行事という一面もあるのです。

七夕は中国から伝わった行事で、中国の南北朝時代の記述にも牽牛、織女が合うと記述され、針仕事の上達を願って7本の針に糸を通して供えたとされています。日本に伝わったのは奈良時代なのですが、日本にもともとあった棚機津女(たなばたつめ)の伝説と合わさったものと言われています。これは旧暦7月15日の夜に水の神が下りてくるということで、その地で選ばれた乙女が「たな」(棚)という水辺の地で「はた」(機)という織機で布を織って供えたという神事です。これも本来は旧暦7月15日の「お盆」の行事と関連するものといわれています。「七夕」(中国から伝わったときは「しちせき」)と書いて「たなばた」と読むのもこのことからと言われています。一方、笹竹に短冊に願いを書いて下げる習慣は暑気払いに神社でも設置される茅の輪の両脇の笹竹に由来するもので日本独自のものです。

この頃(旧暦)に合わせた(新暦でひと月遅らせた)七夕の行事も多くあります。日本一と呼ばれる仙台七夕まつりもこの旧暦にあわせて新暦からひと月遅らせて8月初旬に例年なら行われます。また京都の七夕も伝統的七夕に合わせて行われます。

 

8月23日 処暑

天文学では太陽の位置、黄経が150°になるとき(18:01)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。文字の通り暑さが峠を越えて過ぎる、涼しくなりはじめるころとされ、7月中でもあります。旧暦の7月は秋とされています。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがあります。

また処暑から白露の前日までの期間を処暑と呼ぶことがあります。この頃は台風が上陸、接近することがよくあります。

 

8月28日 土星が衝

外惑星の見え方

外惑星の見え方(印刷用)

土星が地球からみて太陽と反対側になります。夕方は東の空に、夜中に真南に高く、夜明け前に西の空にとほぼ一晩中見ることができます。夜中に南の空高く見えるので望遠鏡などでの詳しい観察のチャンスでもあります。天体観望会は夜中ではなく宵のうちに行われることが多いため、衝より後、東矩あたりに見ごろとなります。

 

8月31日 満月(Full Moon)「ブルームーン(Blue Moon)」

同じ月の2度目の満月です。めずらしいのでブルームーンと呼ばれることもあります。これは月が青く見えることなんてありえない、めったにないということで「Once in a blue moon」(ありえない、めったにないの意味)という言葉もあります。月が青く見える日ではありませんので間違えないでください。

 

8月の情報(満月の詳細は上記)

2日 満月(Full Moon),望(Full Sturgeon Moon)
2日 十六夜(暦ではこうなります)
3日 立待月
4日 居待月
5日 寝待月

6日 更待月

8日 下弦

14日前後 有明の月(Waning Crescent Moon)

16日 新月.朔(New Moon)

18日 三日月(Waxing Crescent Moon)(暦ではこうなります)

24日 上弦(First Quarter Moon)

28日 十三夜(Waxing Gibbous Moon)

31日 満月(Full Moon),望(Blue Moon)十六夜(暦ではこうなります)

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