あなたのところに大きな望遠鏡がやってくる

2023年(令和5年)1月の星空 しぶんぎ座流星群、夕方低くに木星と土星、水星が西方最大離角、ウルフ・ムーン

2023年1月の星空

三大流星群のひとつ「しぶんぎ座流星群」が4日午後1時ごろに極大(ピーク)を迎えます。今年は満月前の夜で月明りもありピークも昼間です。金星は太陽との離角が大きくさくなり、23日に月、土星とならんで見えます。宵の明星はこれからです。木星と土星は夕方南西の空低くなりますが、23日には土星と金星、月が、26日には木星と月がならびます。南西の空低空ですが空の開けたところで観察できます。30日、水星が西方最大離角となり、夜明け前の南東の空低くで観察のチャンスを迎えます。31日は月と火星がならびます。7日の満月は「フル・ウルフ・ムーン(狼月)」の名前があります。また今年最少の月です。暦では6日が「小寒」、17日が「土用の入り」、20日が「大寒」です。

 

1月1日 元日

年の初めの日であり、日本で現在採用されている「グレゴリオ暦」の1月1日になります。また「国民の祝日に関する法律」では、「年のはじめを祝う」ことを趣旨とされる祝日となっています。天文学としての意味はなく、太陽の位置とも関係がありません。

日本ではほぼ(旧暦とは差がありますので)1872年にあたる明治5年、「太陰暦ヲ廃シ太陽暦ヲ頒行ス」とする「改暦ノ布告」があり、明治5年12月2日(1872年12月31日)をもって太陰太陽暦(これまでは「天保暦」という太陽太陰暦を使用していました)これを廃止し、翌日の明治6年(1873年)1月1日から太陽暦を採用することとしました。つまりグレゴリオ暦1873年1月1日に当たる明治5年12月3日を改めて明治6年1月1日とすることにしたのです。これが明治改暦です。この明治改暦は公布から施行までがなんと一月にも満たない期間にされたため大きな混乱を起こすことにもなったのですが、当時の明治政府が財政的にひっ迫しており、旧暦明治6年にある閏月(天保歴で調整のため追加される月)をなくし、また休日を増やすことで職員給与を削減するもくろみがあったと言われています。ともかくこの改暦では慌ただしく行われ、閏年の設定について「400年に3回、西暦年数が100で割り切れるが400で割り切れない年は、閏年としない」という重要な暦設定事項が欠落していたりしたため、1898年(明治31年)5月11日に、改めて勅令を出して修正し、正しいグレゴリオ暦に合わせたという経緯がありました。

1883年(明治16年)からは本暦と略本暦(日本国公式のカレンダー)が伊勢神宮(神宮)から頒布されるようになります。これは従来より伊勢神宮周辺で歴師とよばれる暦作成者が暦を作成していた流れを受け継ぐもので、現在は神宮司庁により「神宮暦」として一般にも販売されています。

神宮歴

また祝日としての元日は明治改暦以降も皇室行事の「四方拝」にもとづく四方節と呼ばれる祝祭日でしたが、1948年(昭和23年)公布・施行された「国民の祝日に関する法律」により上記の祝日となりました。

「元旦」という言い方もありますが、こちらは元日の日の朝、つまり初日の出を意味することもありますし、元日と同意であるとして使われることもあります。

 

1月4日 しぶんぎ座流星群が極大(ピーク)

三大流星群のひとつでピークが鋭く、短時間でしか多くの流星を望めないことで知られています。ピーク予想時刻は4日午後1時ごろと予想されます。また厳冬期での夜明け前の観察になる流星群です。今年は7日が満月ですので月明かりの影響はありません。ピークが鋭い流星群なので、活発な活動はピーク前後1時間くらいをはずすと難しくなることが予想されます。しかも今回は昼間がピークと予想されます。しかしピーク時には1時間あたり20~30個ほどの流星、ピークを外しても1時間あたり数個が見られると予想されますので防寒対策をして観察したいものです。

1月4日しぶんぎ座流星群

1月4日しぶんぎ座流星群(印刷用)

1月4日 月と火星がならぶ

夕方の東の空~夜中の真上の空で月と火星がならびます。

2023年1月3日~5日夕方東の空

2023年1月3日~5日夕方東の空(印刷用)

 

1月6日 小寒(しょうかん)

天文学では太陽の位置、黄経が285°になるとき(0:05)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。冬の寒さが最も深まる前半という時期とされていて冬至をすぎて寒さが増してゆくときとされています。12月節でもあります。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがありますがおおむね似ているようにも感じます。

また小寒から大寒の前日までの期間を小寒と呼ぶことがあります。日本では関東や東北、北陸なども積雪のたよりが聞ける頃です。寒さはこれからさらに増します。またこの小寒から立春の前日の節分までを「寒」「寒中」と呼び、この寒に入るということで寒の入りと言います。寒中見舞いを出す時期でもあります。

 

1月7日 満月(Full Moon)「Full Wolf Moon(フル・ウルフ・ムーン)」!

「Full Wolf Moon(フル・ウルフ・ムーン)」

北米ネイティブ・アメリカンでは1月の満月を「Full Wolf Moon(フル・ウルフ・ムーン)」と呼ばれます。これは名前のとおりオオカミの季節の月だからです。オオカミは繁殖期の前によく遠吠えをしますが、それが遠くまで聞こえる月という意味があるそうです。

オオカミ男と満月

「オオカミ男(狼男)」は満月を見て変身する・・・と言われますが、満月とオオカミの関係はこの名前にあるのかもしれません。もともとオオカミ男はヨーロッパの伝承で、満月を見て変身するというのは近代になって後付けされたもののようです。またオオカミは月に向かって吠えるというのも、特に月に向いているわけではなく、空に向かって吠えた方がより遠くまで声がとどくからです。

「Full Old Moon(フル・オールド・ムーン)」

これは正直、意味がわかりません。もしかしたら旧暦(太陰暦)の月という言葉からきたのかもしれませんが、この名前で呼ばれることもあるようです。また、オールド・ムーンは新月前の細い月のことをこう呼ぶことがあります。

「Full Cold Moon(フル・コールド・ムーン)」

これは季節をあらわし、寒い季節の月という意味です。ヨーロッパ、北米で呼ばれます。12月のCold Moonの方がネイティブ・アメリカンの名前として有名ですね。

マイクロ・ムーン

スーパームーン(8月31日)に対してみかけの大きさが最小になる月です。

月の大きさの違い

 

1月17日 冬の土用の入り

「土用」とはもともとは中国の思想、「陰陽五行説」によるもので、五行説では万事が「木、火、金、水、土」でできていると考えられそれらの「気」が活発になる季節をあてはめ、春には木気、夏には火気、秋には金気、冬には水気と四つを割り当てました。残った「土」、土気はそれぞれの季節の変わり目に割り当てることとしたのです。これが「土用」です。土用の期間は年に4回あり、土気が盛んになるので、土木に関することや建築などでの穴掘り等の土を動かすことが禁忌とされたのです。「雑節」のひとつでもあり、有名なのは立秋前の夏の土用で、土用の丑の日に鰻を食べて夏の暑さを乗り切ろうとすることです。各土用の入りの日があり、最終の日は土用明けで節分となります。季節の変わり目を意味し、今では太陽の位置(黄経)を基準に決められています。(定気法)

冬の土用の入りは太陽黄経が297°になるとき(18:48)です。土用明け節分は2月3日で翌日は立春です。雑節は日本の気候風土にも合わせてあり、この頃は季節の変わり目で体調を崩しやすいとされています。冬の土用は厳冬期となり冬の寒さが一番厳しい時期に変わるという季節の変わり目、また厳冬期という健康や積雪などの節目でもあります。食べるとよいものなどが(夏土用の鰻のように)紹介されたりしていますが五行思想を無理に当てはめたりしているものなので科学的な意味はありません。厳冬期で風邪やインフルエンザなどの対策にはバランスの良い食生活や適度な暖房などの方が重要です。

 

1月20日 大寒(だいかん)

天文学では太陽の位置、黄経が300°になるとき(17:30)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。冬の寒さが最も厳しくなる時期とされていて小寒からさらに寒さが増してゆくときとされています。12月中でもあります。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがありますがおおむね似ているようにも感じます。ただ日本では西日本などでは2月になってからの方が積雪や寒波の到来などが多いでしょう。

また大寒から立春の前日(節分)までの期間を大寒と呼ぶことがあります。日本では関東や東北、北陸なども大雪、積雪のたよりが聞ける頃です。寒さはさらに増します。またこの小寒から立春の前日の節分までの「寒」の中日です。凍り豆腐や寒天、味噌など寒さを使った食物の仕込み製造などが行われる時期とされています。剣道などの武道では「寒稽古」が行われる時期でもあります。

 

1月23日 月と金星、土星がならぶ

夕方の南西の空で細い月と金星、土星がならびます。

2023年1月23日~26日夕方南西の空

2023年1月23日~26日夕方南西の空(印刷用)

 

1月26日 月と木星がならぶ

夕方の南西の空で月と木星がならびます。

2023年1月23日~26日夕方南西の空

2023年1月23日~26日夕方南西の空(印刷用)

 

1月30日 水星が西方最大離角

夜明け前の南東の空で水星が西方最大離角となります。水星が太陽から見ていちばん西に離れますので、見えるのは夜明け前になります。見えにくい水星を見るチャンスです。

水星、金星の位置と見え方

水星、金星の位置と見え方(印刷用)

2023年1月30日水星が西方最大離角

2023年1月30日水星が西方最大離角(印刷用)

 

1月31日 月と火星がならぶ

夕方の真上近くの空で月と火星がならびます。

2023年1月31日月と火星がならぶ

2023年1月31日月と火星がならぶ(印刷用)

 

1月の情報(満月の詳細は上記)

4日 十三夜(Waxing Gibbous Moon)
7日 満月(Full Moon),望(Full Wolf Moon)
7日 十六夜(暦ではこうなります)
8日 立待月
9日 居待月
10日 寝待月

11日 更待月

15日 下弦

20日前後 有明の月(Waning Crescent Moon)

22日 新月.朔(New Moon)

24日 三日月(Waxing Crescent Moon)

29日 上弦(First Quarter Moon)

 

 

 

★那須香大阪天文台の星空情報★

イベント開催のお問い合わせはフォームまたはこちらへ(留守電にお名前ご連絡先、ご用件で折り返しいたします) TEL 0721-20-0504 電話での天文現象などのお問い合わせはできません。低料金で講演会、質問会の開催ができますのでご依頼ください。

那須香大阪天文台Facebook

中島健次twitter

YouTubeチャンネル

大型望遠鏡で見てみませんか!

天文台長のネクタイ

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

趣味のページリンク【天文以外】

検索

PAGETOP
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.