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2021年(令和3年)11月の星空 部分月食、ビーバー・ムーン、木星、土星、金星

2021年11月の星空

5日、天王星が衝となります。肉眼での観察は難しい惑星です。木星と土星は夜早々に南から南西にかけて見える位置になります。天体観望会などではまだまだ観望の好機です。夕方の南西の空にはまだ金星が見えます。19日の満月は「フル・ビーバー・ムーン」とも呼ばれますが、日本全国で部分月食が見られます。部分月食といっても今回は皆既月食に近い部分月食となります。一部地域を除いて月出帯食となりますので比較的早い時間に見ることができます。暦では、7日が「立冬」、22日が「小雪」です。

 

11月5日 天王星が衝

太陽系で2番目に太陽から遠い惑星、天王星が地球から見て太陽の反対側「衝」の位置になります。一般に火星より外の「外惑星」はこの頃が夜中に南の空高く見え、観察の好機となります。ただ天王星は非常に遠いので衝の前後でも距離の差はさほど観測に出ません。明るさも5.6等と空のきれいなところでも肉眼で見えるぎりぎりの明るさです。望遠鏡での観察も大型のものが必要です。

41cm望遠鏡による天王星

外惑星の見え方

外惑星の見え方(印刷用)

 

11月5日 おうし座南流星群が極大(ピーク)

おうし座北流星群とともに長い期間見え、ゆっくりとした明るい流星で知られています。また非常に明るい「火球」がみられることでも知られています。実際、この前後に火球目撃情報が多くあります。ピーク日にとらわれず前後数週間にわたって長く楽しめる流星群です。数は1時間あたり数個程度です。母天体はハレー彗星(1P)の次に周期彗星であるとされたエンケ彗星(2P)とされています。

 

11月7日 立冬

天文学では太陽の位置、黄経が225°になるとき(13:59)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。寒さが増して冬の気配が立ち始めるころとされています。10月節でもあります。季節ではこの日から立春までが冬とされています。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがあります。

また立冬から小雪の前日までの期間を立冬と呼ぶことがあります。日本では冬そのものとはいえないかもしれませんが、朝夕の冷え込みは増し、秋が深まったころというところです。富士山の初冠雪のニュースはもうこの頃には届いていて、平地でも紅葉の見ごろとなる季節でちょっとした山では紅葉のシーズンを迎える頃です。またこの立冬の前日、11月6日が節分ですが、江戸時代以降は一般に節分といえば立春の前の節分のことをいいます。季節の変わり目のことを指して言う言葉でもあります。

 

11月8日 月と金星がならぶ

11月8日の夕方西の空で月と金星がならびます。少し低めの位置ですがすぐ近くにならぶ月と金星は美しい眺めになるでしょう。

2021年11月7日~9日夕方の西の空

2021年11月7日~9日夕方の西の空(印刷用)

 

11月10日 月と土星がならぶ 11日 月と木星がならぶ

10日には土星と、11月には木星と月がならびます。

2021年11月10日~12日南の空

2021年11月10日~12日南の空(印刷用)

 

 

11月12日 おうし座北流星群が極大(ピーク)

11月5日に極大(ピーク)を迎えたおうし座南流星群とともに明るくゆっくりとした流星で知られています。数は1時間に数個ほどですがこちらも明るい火球がみられることでも知られています。

 

11月14日 「十日夜の月(とうかんや)」「三の月」

旧暦十月十日の月で「十五夜の月」「十三夜の月」に続く三度目のお月見として行われることもあります。この頃には秋の作物はほぼ収穫を終える頃とされています。十三夜よりずっと欠けた月で上弦すぎの月となります。

 

11月18日 しし座流星群が極大(ピーク)

しし座流星群の火球(左上は木星)

11月18日の午前2時ごろ、しし座流星群が極大(ピーク)と予想されます。母天体のテンペル・タットル彗星(55P)の回帰後にあたる2001年の大出現からは落ち着いた(数の少ない)流星群ですが1時間あたり数個から十数個程度の出現と予想されます。ちょうどおうし座南北流星群と重なりますので両方を楽しむのもいいでしょう。しし座流星群はおうし座流星群と対照的に速度が速い流星が特徴です。飛んでくる方向を探さなくてもおうし群としし群の違いは目で見ても速度からあきらかです。今年は明るいものだけを狙いましょう。翌日が満月なので月明りの影響を受けてしまいます。

 

11月19日 満月(Full Moon)「Full Beaver Moon(フル・ビーバー・ムーン)」

「Full Beaver Moon(フル・ビーバー・ムーン)」

北米ネイティブ・アメリカンでは11月の満月を「Full Beaver Moon(フル・ビーバー・ムーン)」と呼ばれます。これは冬に備えてビーバーが巣作りをする季節の月だからそうです。

「Full Frost Moon(フル・フロスト・ムーン)」

これも北米ネイティブ・アメリカンのことばで霜(Frost)が降りる季節という意味です。

 

11月19日 部分月食

今回の月食は食分の大きい部分月食でほぼ皆既月食といえるほどです。赤銅色の皆既月食独特の色も見えると思います。

また北海道などの一部を除いて月が欠けた状態で昇る月食帯食となります。比較的早い時間でも観察できるのでお子様でも見ることができます。

2021年11月19日の部分月食

2021年11月19日の部分月食(印刷用)

 

11月22日 小雪(しょうせつ)

天文学では太陽の位置、黄経が240°になるとき(11:34)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。冬で寒くなり、少し雪が降る頃という意味があります。10月中でもあります。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがあります。北海道や高山を除けばまだ雪には早いと思います。

また小雪から大雪の前日までの期間を小雪と呼ぶことがあります。日本では北海道などをのぞけば雪がちらつくにもまだ早い頃です。ですが気温は下がり冬の訪れを感じる頃ではあります。もうこの頃には紅葉のみごろとなっているはずです。北国からの雪の便り、冠雪した富士山をみて冬を感じる頃といったところでしょう。

「小雪」と書いて「こゆき」と読むものもあります。小雪がちらつくなどの表現で用いられますが、これは気象のことばで積雪量1mm未満の雪のことです。雨でも1mm未満を小雨と呼んだりしますがそれと同じく、天候では雪とみなされないほどの少量の雪のことです。

11月23日 「勤労感謝の日」「新嘗祭(にいなめさい)」

国民の祝日であり、国民の祝日に関する法律(祝日法)では「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」日とされ、現在の暦、カレンダーでは11月23日とされています。しかしもともとは農業、特に稲作を中心とした日本ではその年に収穫された稲をはじめ五穀豊穣を祝う収穫祭の意味で、飛鳥時代から「新嘗祭」という行事としておこなわれてきました。この新嘗祭を明治の新暦採用のときに11月23日としたことが勤労感謝の日のもとです。

新嘗祭は天皇がその年の収穫された穀物などを神にささげる行事とされていたことから、戦後行事が天皇の神事にかかわるという議論があり1948年(昭和23年)に公布、施行された国民の祝日に関する法律では「勤労感謝の日」とされました。今でも各地の神社では新嘗祭として行われています。また天皇が即位した後の最初の新嘗祭は「大嘗祭(だいじょうさい)」として行われます。

 

11月の情報(満月の詳細は上記)

3日前後 有明の月(Waning Crescent Moon)
5日 新月.朔(New Moon)
6日 二日月(Paper Moon)
7日 三日月(Waxing Crescent Moon)
11日 上弦(First Quarter Moon)
17日 十三夜(Waxing Gibbous Moon)
19日 満月(Full Moon),望(Full Buck Moon)
20日 十六夜
21日 立待月
22日 居待月
23日 寝待月

24日 更待月

27日 下弦

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