2020年11月の星空
火星がまだ接近中で東~南の空に明るく見えます。木星、土星も夕方の南西の空に見えています。11日は水星が西方最大離角となり、夜明け前に見るチャンスです。17日深夜から18日夜明け前はしし座流星群のピークが予想されます。またおうし座流星群の期間で明るい流星や火球も見えるチャンスがあります。30日の満月は「フル・ビーバー・ムーン(ビーバーの月)」の名前があります。またこの満月は半影月食となり、一部が少し暗くなります。暦では7日が「立冬」、22日が「小雪」です。
11月1日 天王星が衝
太陽系で2番目に太陽から遠い惑星、天王星が地球から見て太陽の反対側「衝」の位置になります。一般に火星より外の「外惑星」はこの頃が夜中に南の空高く見え、観察の好機となります。ただ天王星は非常に遠いので衝の前後でも距離の差はさほど観測に出ません。明るさも5.7等と空のきれいなところでも肉眼で見えるぎりぎりの明るさです。望遠鏡での観察も大型のものが必要です。
11月5日 おうし座南流星群が極大(ピーク)
おうし座北流星群とともに長い期間見え、ゆっくりとした明るい流星で知られています。また非常に明るい「火球」がみられることでも知られています。実際、この前後に火球目撃情報が多くあります。ピーク日にとらわれず前後数週間にわたって長く楽しめる流星群です。数は1時間あたり数個程度です。母天体はハレー彗星(1P)の次に周期彗星であるとされたエンケ彗星(2P)とされています。
11月7日 立冬
天文学では太陽の位置、黄経が225°になるとき(08:14)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。寒さが増して冬の気配が立ち始めるころとされています。10月節でもあります。季節ではこの日から立春までが冬とされています。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがあります。
また立冬から小雪の前日までの期間を立冬と呼ぶことがあります。日本では冬そのものとはいえないかもしれませんが、朝夕の冷え込みは増し、秋が深まったころというところです。富士山の初冠雪のニュースはもうこの頃には届いていて、平地でも紅葉の見ごろとなる季節でちょっとした山では紅葉のシーズンを迎える頃です。またこの立冬の前日、11月6日が節分ですが、江戸時代以降は一般に節分といえば立春の前の節分のことをいいます。季節の変わり目のことを指して言う言葉でもあります。
11月11日 水星が西方最大離角
11月11日、水星が西方最大離角となり、太陽から西にいちばん離れて見えます。夜明け前、東の空低くに見ることができるチャンスとなります。
夜明け前には金星も「明けの明星」として見えていますからふたつの惑星を見ることができます。
11月12日 おうし座北流星群が極大(ピーク)
11月5日に極大(ピーク)を迎えたおうし座南流星群とともに明るくゆっくりとした流星で知られています。数は1時間に数個ほどですがこちらも明るい火球がみられることでも知られています。
11月17日 しし座流星群が極大(ピーク)
11月17日の19時ごろ、しし座流星群が極大(ピーク)と予想されます。母天体のテンペル・タットル彗星(55P)の回帰後にあたる2001年の大出現からは落ち着いた(数の少ない)流星群ですが1時間あたり数個から十数個程度の出現と予想されます。ちょうどおうし座南北流星群と重なりますので両方を楽しむのもいいでしょう。しし座流星群はおうし座流星群と対照的に速度が速い流星が特徴です。飛んでくる方向を探さなくてもおうし群としし群の違いは目で見ても速度からあきらかです。
ピークの17日午後7時ごろは流星群の放射点(輻射点)がまだ昇っていません。見えるのは17日深夜から放射点が高くなる18日夜明け前となります。
11月19日 月と木星、土星がならぶ
木星と土星はしだいに接近し、11月19日にはそこに月も加わって接近します。明るいふたつの惑星と月のランデブーは素晴らしい眺めとなるでしょう。
夕方から宵の南西の空で木星、土星は見えています。12月にかけてしだいにさらに接近します。
11月22日 小雪(しょうせつ)
天文学では太陽の位置、黄経が240°になるとき(05:40)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。冬で寒くなり、少し雪が降る頃という意味があります。10月中でもあります。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがあります。北海道や高山を除けばまだ雪には早いと思います。
また小雪から大雪の前日までの期間を小雪と呼ぶことがあります。日本では北海道などをのぞけば雪がちらつくにもまだ早い頃です。ですが気温は下がり冬の訪れを感じる頃ではあります。もうこの頃には紅葉のみごろとなっているはずです。北国からの雪の便り、冠雪した富士山をみて冬を感じる頃といったところでしょう。
「小雪」と書いて「こゆき」と読むものもあります。小雪がちらつくなどの表現で用いられますが、これは気象のことばで積雪量1mm未満の雪のことです。雨でも1mm未満を小雨と呼んだりしますがそれと同じく、天候では雪とみなされないほどの少量の雪のことです。
11月23日 「勤労感謝の日」「新嘗祭(にいなめさい)」
国民の祝日であり、国民の祝日に関する法律(祝日法)では「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」日とされ、現在の暦、カレンダーでは11月23日とされています。しかしもともとは農業、特に稲作を中心とした日本ではその年に収穫された稲をはじめ五穀豊穣を祝う収穫祭の意味で、飛鳥時代から「新嘗祭」という行事としておこなわれてきました。この新嘗祭を明治の新暦採用のときに11月23日としたことが勤労感謝の日のもとです。
新嘗祭は天皇がその年の収穫された穀物などを神にささげる行事とされていたことから、戦後行事が天皇の神事にかかわるという議論があり1948年(昭和23年)に公布、施行された国民の祝日に関する法律では「勤労感謝の日」とされました。今でも各地の神社では新嘗祭として行われています。また天皇が即位した後の最初の新嘗祭は「大嘗祭(だいじょうさい)」として行われます。
11月24日 「十日夜の月(とうかんや)」「三の月」
旧暦十月十日の月で「十五夜の月」「十三夜の月」に続く三度目のお月見として行われることもあります。この頃には秋の作物はほぼ収穫を終える頃とされています。十三夜よりずっと欠けた月で上弦すぎの月となります。
11月25日~26日 月と火星がならぶ
まだマイナス1等以上と明るい火星と月がならびます。宵から未明にかけて見ることができます。
これ以降、火星はしだいに遠くなり、明るさも徐々に暗くなってゆきます。
11月30日 満月(Full Moon)「Full Beaver Moon(フル・ビーバー・ムーン)」
「Full Beaver Moon(フル・ビーバー・ムーン)」
北米ネイティブ・アメリカンでは11月の満月を「Full Beaver Moon(フル・ビーバー・ムーン)」と呼ばれます。これは冬に備えてビーバーが巣作りをする季節の月だからそうです。
「Full Frost Moon(フル・フロスト・ムーン)」
これも北米ネイティブ・アメリカンのことばで霜(Frost)が降りる季節という意味です。
11月30日 半影月食
月食は地球の影に月が入っておきる天文現象ですが、月が欠けるほど暗くなる(本影の中に入る)のではなく、本影のまわりの薄い影に入るのが半影月食です。このときは月が欠けて見えるのではなく、一部がグラデーションのように少し暗く見えます。半影月食も皆既月食や部分月食と同じく満月の時におきます。(地球の影と月はずれていることが多いので満月が必ず月食になるわけではありません。)
今回は影が月の北側になるので、月の北側(上)が少し暗くなって見えます。
11月の情報(満月の詳細は上記)
- 1日 十六夜
- 2日 立待月
- 3日 居待月(Waning Gibbous Moon)
- 4日 寝待月
- 5日 更待月
- 8日 下弦(Last Quarter Moon)
- 13日前後 有明の月(Waning Crescent Moon)
- 15日 新月.朔(New Moon)
- 16日 二日月(Paper Moon)
- 17日 三日月(Waxing Crescent Moon)
- 22日 上弦(First Quarter Moon)
- 24日 十日夜
- 27日 十三夜(Waxing Gibbous Moon)
- 30日 満月(Full Moon),望(Full Beaver Moon)
- 30日 十六夜※旧暦ではこうなります。