2021年8月の星空
2日に土星が、20日に木星が相次いで衝の位置となり望遠鏡での観測の好機となります。11日には金星と月が西の空低くならびます。13日未明にはペルセウス座流星群がピークを迎え、今年は月明りの影響がない絶好の機会です。またはくちょう座κ流星群も期待できます。22日の満月は「フル・スタージョン・ムーン」ともよばれます。木星と土星と月の接近が20日から22に見られます。暦では今年の旧七夕(伝統的七夕)は14日です。7日が立秋、23日が処暑、31日が二百十日です。
8月2日 土星が衝
土星が地球からみて太陽と反対側になります。夕方は東の空に、夜中に真南に高く、夜明け前に西の空にとほぼ一晩中見ることができます。夜中に南の空高く見えるので望遠鏡などでの詳しい観察のチャンスでもあります。天体観望会は夜中ではなく宵のうちに行われることが多いため、衝より後、東矩あたりに見ごろとなります。
8月7日 立秋
天文学では太陽の位置、黄経が135°になるとき(15:54)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。夏が極まり秋の気配が立ち始める日とされ、7月節でもあります。旧暦では7月から9月を秋としていました。これは中国から伝わったものですから日本では気候でも感覚でもずれがあります。日本ではまだ猛暑の季節であり、立秋からの暑さを「残暑」と呼びます。「暑中見舞い」もこの立秋以降は「残暑見舞い」となります。また気候でも、この日までに梅雨が明けない場合、梅雨明けの発表はされず、「梅雨明けなし」となります。
また立秋から処暑の前日までの期間を立秋と呼ぶことがあり、初秋の頃となります。また7月節以降が旧暦の秋でもあり、沖縄県では旧暦7月15日のお盆、盂蘭盆会とあわせ「エイサー」の起源とされ、戦後はこの立秋、7月節以降に盛んに行事として行われるようになりました。
8月11日 月と金星がならぶ
夕方の西の空に明るく見えている金星と細い月がならびます。
西の空かなり低い位置ですが午後7時半から8時ごろなら何とか見られるでしょう。
8月13日午前4時 ペルセウス座流星群が極大(ピーク)
毎年この頃にピークになり、話題になる「ペルセウス座流星群」ですが、今年は8月13日午前4時ごろが極大(ピーク)と予想されます。当日は上弦前の月で、夜中以降には月明りの影響がありません。宵のうちは放射点(輻射点)が北東に低いのですが、ピークの午前4時ごろには放射点も高く、月明りもなく絶好の観察のチャンスとなるでしょう。
今年は絶好のチャンス!
13日午前2時ごろから増加するものとみられ、夜明け前の午前4時ごろにピークを迎えると予想されます、流星は全天でどこに出現するかわかりません。天頂付近を中心に空を広く眺めるとよりたくさんの流星を見ることができるでしょう。今年はピークが夜明け前直前という時刻ですが、夜中から徐々に数が増えてゆくようすを観察するのがいちばんです。今年は夜中から夜明け前まで月明りの影響がない好条件です。一時間あたりの出現数は全天で数十個と予想されます。
8月14日、「旧七夕」「伝統的七夕」
8月14日は旧暦の7月7日、七夕の日です。今は暦(カレンダー)が変わりましたが、昔の七夕はこの頃だったのです。今のカレンダーでは梅雨の最中になって星の祭りとは合わなくなてしまいます。2019年は8月7日でちょうど新暦と1か月の差でしたが、2020年(令和2年)は旧暦4月の後に閏(うるう)4月があったので(閏月があったので)新暦8月25日、8月下旬となりました。もう秋が近いのでは?と感じるかもしれませんが、それで正解!旧暦では7月~9月が秋なので、七夕とは「秋」の行事なのです。俳句や短歌でも重要な「季語」でも七夕は初秋の季語になっています。今年は8月14日、お盆休みの期間と重なりちょうど暑い盛りですが中国の内陸部の気候ではそろそろ涼しさを感じ始める頃ということで秋の行事とされています。また七夕にはお盆と関連がある行事という一面もあるのです。
七夕は中国から伝わった行事で、中国の南北朝時代の記述にも牽牛、織女が合うと記述され、針仕事の上達を願って7本の針に糸を通して供えたとされています。日本に伝わったのは奈良時代なのですが、日本にもともとあった棚機津女(たなばたつめ)の伝説と合わさったものと言われています。これは旧暦7月15日の夜に水の神が下りてくるということで、その地で選ばれた乙女が「たな」(棚)という水辺の地で「はた」(機)という織機で布を織って供えたという神事です。これも本来は旧暦7月15日の「お盆」の行事と関連するものといわれています。「七夕」(中国から伝わったときは「しちせき」)と書いて「たなばた」と読むのもこのことからと言われています。一方、笹竹に短冊に願いを書いて下げる習慣は暑気払いに神社でも設置される茅の輪の両脇の笹竹に由来するもので日本独自のものです。
この頃(旧暦)に合わせた(新暦でひと月遅らせた)七夕の行事も多くあります。日本一と呼ばれる仙台七夕まつりもこの旧暦にあわせて新暦からひと月遅らせて8月7日に例年なら行われますが、本年は新型コロナウィルス拡大防止のため縮小して開催となっています。また京都の七夕も伝統的七夕に合わせて行われますがこちらも新型コロナウィルス拡大防止のため、ライトアップ等は縮小された実施となっております。公式サイトをご確認ください。オンライン願い事を受け付けています。
https://kyonotanabata.kyoto.travel/
8月18日 はくちょう座κ(カッパ)流星群が極大(ピーク)
午前9時ごろにピークと予想されます。この流星群は多くても1時間あたり数個という数はあまり多くありません。しかし明るい流星が多く、火球もみられることがあることで知られています。またペルセウス座流星群を観測中に、この流星群の明るい流星が見られることもあります。7年周期で活発になることが知られていて次の予想は今年2021年です。今年は16日が上弦という月の条件は良い年です。
8月20日 木星が衝
木星が地球からみて太陽と反対側になります。夕方は東の空に、夜中に真南に高く、夜明け前に西の空にとほぼ一晩中見ることができます。夜中に南の空高く見えるので望遠鏡などでの詳しい観察のチャンスでもあります。天体観望会は夜中ではなく宵のうちに行われることが多いため、衝より後、東矩あたりに見ごろとなります。
8月20日 月と土星がならぶ
肉眼での観察では衝よりもこちらのほうが見栄えします。満月近い月との接近ですが土星は明るいのでならぶ姿が絶妙でしょう。
8月21日 土星、月、木星がならぶ
上記の図のとおり土星、月、木星の順にならびます。こちらも肉眼での観察やスマートフォンでの撮影などにいいでしょう。
8月22日 満月(Full Moon)「Full Sturgeon Moon(フル・スタージョン・ムーン)」その他多数の呼び名が!「スコッチ・ウィスキー」と関係ある月?
「Full Sturgeon Moon(フル・スタージョン・ムーン)」
北米ネイティブ・アメリカンの部族では「Full Sturgeon Moon(フル・スタージョン・ムーン)」「チョウザメ月」と呼ばれます。意味は大きなチョウザメの仲間の「Sturgeon(スタージョン)」が湖や河川で捕獲できる時期だからです。ただこの魚は乱獲により絶滅危惧種となっています。北米大陸、内陸魚では最大の魚類でもあります。
別名、「Full Red Moon(フル・レッド・ムーン)」,「Full Green Corn Moon(フル・グリーン・コーン・ムーン)」「Full Fruit Moon(フル・フルーツ・ムーン)」「Full Barley Moon(フル・バーレイ・ムーン)」「Full Grain Moon(フル・グレイン・ムーン)」
「Full Red Moon(フル・レッド・ムーン)」
これは赤く見える月です。やはり月の通り道、白道が低く、夕日のように少し赤い月が見えることを呼んだ名前です。北米や北欧では特にこう見えるそうです。
「Full Green Corn Moon(フル・グリーン・コーン・ムーン)」
これもネイティブ・アメリカンで、コーンが緑色に高く伸び、このグリーン・コーンの上に輝く月という意味です。収穫前に高く伸びたトウモロコシの月です。
「Full Fruit Moon(フル・フルーツ・ムーン)」
これは欧州が元になっているようですが、果実の収穫の時期ということでこの名前が伝えられています。確かに短い夏の果実の収穫時期でもあります。
「Full Barley Moon(フル・バーレイ・ムーン)」「Full Grain Moon(フル・グレイン・ムーン)」
これはイギリスが元になっているようです。大麦(Barlry)の収穫の時期ということでこの名前が伝えられているようです。穀物(Grain)収穫の月という意味です。スコットランドではこの収穫された大麦やグレーンから「スコッチ・ウィスキー」が生まれます。
8月22日 月と木星がならぶ
満月を迎えた月と木星がならびます。木星は月のすぐ上ですがおよそマイナス3等という明るさなので月明かりに負けずに見えることでしょう。
8月23日 処暑
天文学では太陽の位置、黄経が150°になるとき(06:35)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。文字の通り暑さが峠を越えて過ぎる、涼しくなりはじめるころとされ、7月中でもあります。旧暦の7月は秋とされています。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがあります。
また処暑から白露の前日までの期間を処暑と呼ぶことがあります。この頃は台風が上陸、接近することがよくあります。
8月30日 くじら座ο(オミクロン)星「ミラ」が極大光度
周期331日で2.0等から10.1等まで変光する長周期変光星「ミラ」が極大光度になる予想です。この星は明るいときは2.0等で肉眼でも見えますが、暗いときは10等ですから肉眼ではまったく見えなくなります。「ミラ(Mira)」もラテン語で「ふしぎなもの」の意味がある名前です。星そのものが収縮したり膨張したりすることで明るさが変わることが知られていて(脈動変光星といいます)極大光度のときは星が収縮し、表面積あたりの明るさが増すことが知られています。ミラはくじら座にあり、見え始めるのは(昇ってくるのは)夜遅くで未明から夜明け前に南東~南の空にあります。
8月31日 二百十日
これは立春(2021年は2月3日)を起算日として210日(立春から209日後)にあたる日です。「雑節」のひとつでこれは日本の気候風土に合わせたもので中国からのものではありません。(雑節は日本の気候に合わせてつけられたものです。)例年では9月1日あたりになりますが、昨年は閏(うるう)年で8月31日になり、本年は立春が2月3日になったことにより8月31日となりました。
二百十日は八朔(旧暦の八月一日、朔日:今年は9月7日)や二百二十日(今年は9月10日)とともに、農業にとって三大厄日とされていて、台風襲来の特異日ともされています。このことから大阪府の枚岡神社、奈良県の大和(おおやまと)神社(戦艦大和の艦内神社また戦艦大和はじめ坊ノ岬沖海戦の戦没者を合祀しています。)などでは「風鎮祭」が行われます。また富山県富山市八尾の「おわら風の盆」も風鎮めの行事が起源となっています。(新型コロナウィルス拡大防止のため2021年の開催は未定)また1923年9月1日に発生した関東大震災(当時の暦では二百九日にあたる)とともに9月1日の「防災の日」が1960年(昭和35年)に制定されることにつながりました。
8月の情報(満月の詳細は上記)
6日前後 有明の月(Waning Crescent Moon)
8日 新月.朔(New Moon)
9日 二日月(Paper Moon)(暦ではこうなります)
10日 三日月(Waxing Crescent Moon)
16日 上弦(First Quarter Moon)
20日 十三夜(Waxing Gibbous Moon)
22日 満月(Full Moon),望(Full Buck Moon)
23日 十六夜
24日 立待月
25日 居待月
26日 寝待月
27日 更待月
30日 下弦