2021年5月の星空
4日から5日の日の出前に木星と土星と月がならびます。火星は離れましたがまだ1.7等の明るさがあり2等級になりましたが、夕方の西の空に見えます。16日には月とならんで見えます。金星が宵の空に見えるようになり、水星が17日に東方最大離角となり、夕方の西の空に見えるようになります。13日から14日には水星と月が、14日には金星、水星、月、火星とならびます。26日は満月で皆既月食となり、全国で見ることができます。また「フル・フラワームーン」の名前もあります。暦では5月1日が八十八夜、5日が立夏、21日が小満です。
5月1日 八十八夜
「八十八夜」は立春(2021年は2月3日)を起算日として88日(立春から67日後)にあたる日です。「雑節」のひとつでこれは日本の気候風土に合わせたもので中国からのものではありません。(雑節は日本の気候に合わせてつけられたものです。)今年から立春が2月3日になったことで閏年でなくても5月1日となっています。
農業において注意を要する日となっており、この頃まで遅霜が発生することがある日とされ、「八十八夜の別れ霜」「八十八夜の泣き霜」というような言葉もあります。一般に広く知られているのは文部省唱歌「茶摘み」で「夏も近づく八十八夜」と歌われているように、この日に摘まれた茶葉は上質なものとされ、茶葉の産地の静岡県や京都府宇治市などでは新茶のサービスなどさまざまなイベント、行事があります。
5月4日~5日 土星、木星と月がならぶ
5月4日には土星と月が、5日には木星と月がならびます。夜明け前の南東の空という早朝ですがチャンスがあれば見てみたいものです。
5月5日 立夏
天文学では太陽の位置、黄経が45°になるとき(15:47)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。夏の気配が立ちはじめる頃、暦の上ではここからが夏となります。四月節でもあります。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがあります。日本ではこの頃はまだ夏というには早すぎます。梅雨もはじまっていない頃でわりと晴天が多い時期であります。日本ではゴールデンウィークの最中で行楽日和の頃であります。
また立夏から小満の前日までの期間を立夏と呼ぶことがあります。ゴールデンウィークも終わり、梅雨までは晴れる日が多い頃でもあります。
5月6日 11時みずがめ座η(エータ)流星群が極大
今年は下弦すぎの月明かりの影響があります。放射点(輻射点)が夜明け前に南東の空低いので見えにくいのですが、空の条件のいいところでは1時間あたり十数個の流星を見ることができるのですが数は少なくなります。しかし明るく流星痕を残すものも多いので市街地でも大流星を見るチャンスがあります。
5月13日~14日 月と水星がならぶ
夕方の西の空低くで月と水星がならびます。
5月14日 金星、水星、月、火星がならぶ
夕方まだ薄明が残る空で3つの惑星と月がならびます。
5月16日 月と火星がならぶ
先日水星、金星とならんだ月が火星とならびます。火星はすでに2等級の明るさになっていますが、月とのならびはじゅうぶん見ごたえがあるでしょう。
5月17日 水星が東方最大離角
水星が東方最大離角となり、夕方の西の空で観測のチャンスとなります。
水星は太陽のすぐ近くをまわっていて観測しにくいためこの最大離角前後が観測のチャンスです。
5月21日 小満
天文学では太陽の位置、黄経が60°になるとき(04:37)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。小満とはちょっと意味がわかりにくい言葉ですが、万物の成長が「満ちて」くるとき、草木がある程度「満ちた大きさ」になるときという意味があります。四月中でもあります。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがあります。日本ではこの頃はまだ草木の生い茂る夏というには早すぎるような気がします。
また小満から芒種の前日までの期間を小満と呼ぶことがあります。そろそろ梅雨の気配を感じることが多い頃でもあります。
5月26日 皆既月食
全国で皆既月食を見ることができます。ただし月食(部分月食)のはじめを見ることができるのは関東東部、東北太平洋岸、北海道東部でそれ以外の地域は月の出のときには月食が始まっている「月出帯食(げつしゅつたいしょく)」となります。
皆既月食となったとき、真っ暗ではなく赤黒くぼんやり見ることができます。これは地球の大気を通った赤い光が月を照らすためです。ただし大規模な火山の噴火などで地球上空の大気にちりが多くなったときなどは赤い光もとおりにくくなり、赤く見えずほぼ真っ暗になることもあります。皆既月食のときの月の色からは地球の大気の状態を知ることもできるのです。
5月26日満月「Full Flower Moon(フル・フラワー・ムーン)」
「Full Flower Moon(フル・フラワー・ムーン)」
北米ネイティブ・アメリカンでは「Full Flower Moon(フル・フラワー・ムーン)」と呼ばれます。もちろん意味はそのとおり、さまざまな花が咲き始める季節。この頃に北米では日本で知られている花では、スミレ、にんにく、アネモネなど数多くの様々な色の花が咲きます。まさに「お花見の月」という意味です。
別名、「Full Corn Planting Moon(フル・コーン・プランティング・ムーン)」,「Full Mother’s Moon(フル・マザーズ・ムーン)」「Full Milk Moon(フル・ミルク・ムーン)」
「Full Corn Planting Moon(フル・コーン・プランティング・ムーン)」
これはこの頃にトウモロコシの植え付けを始める季節だからです。北米ネイティブ・アメリカンにとって主食ともいうべきトウモロコシの栽培に重要な季節の月という意味です。農業国である日本では5月は「皐月(さつき)」これは陰暦では梅雨の季節になりますが北米の5月はようやく暖かさを感じる季節でもあります。
「Full Mother’s Moon(フル・マザーズ・ムーン)」
その暖かさをあらわすのがこの名前で母親が子どもたちを安心して育てられる暖かさになる月。つまり厳しい寒さから子どもたちを守ることから開放される月という意味です。現在のように冷暖房が行き届いた時代と違い、厳しい自然と共に生きる昔の生活があらわれたとても深い意味の名前です。
「Full Milk Moon(フル・ミルク・ムーン)」
これは私も難解だったのですが、名前のとおり酪農に関する呼び名です。1日2回搾乳から1日3回搾乳にすることができる月という意味です。これは私が酪農に縁がないために理解しにくかったのですが、乳牛の食料がじゅうぶんになり、搾乳回数が増やすことができ、1日に3回搾乳することができるようになる季節という意味だそうです。これも生活に直結する重要な意味がある月の名前ですね。ある意味「Milk Moon」より「”Full” Milk Moon」が最も適した響きに聞こえます。
5月の情報(満月の詳細は上記)
1日 更待月
4日 下弦(Last Quarter Moon)
10日前後 有明の月(Waning Crescent Moon)
12日 新月.朔(New Moon)
13日 二日月(Paper Moon)
14日 三日月(Waxing Crescent Moon)
20日 上弦(First Quarter Moon)
24日 十三夜(Waxing Gibbous Moon)
26日 満月(Full Moon),望(Full Flower Moon)皆既月食
27日 十六夜※旧暦ではこうなります。
28日 立待月
29日 居待月
30日 寝待月
31日 更待月