2022年4月の星空
夜明け前の南東の空に土星、火星、金星、木星がならんでいます。25日から28日にかけては月がならびます。宵のうちには冬の大三角を含めた冬の星座もまだ西の空に見ることができますが春の大三角も東の空から昇ってきます。17日は満月で「フル・ピンクムーン」の名前もあります。29日には水星が東方最大離角となり、夕方の西の空で見るチャンスとなります。暦では4月5日が清明、17日が春の土用の入り、20日が穀雨です。
4月5日 清明
天文学では太陽の位置、黄経が15°になるとき(04:20)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。すべてのものが明るく清々しくなるころとされています。これだけでは季節のようすをあらわしていないようですが、中国では「清明節」という先祖供養のお祭りがあります。春の陽気が漂い生き物が清々しく息づく頃という意味でもあります。三月節でもあります。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがあるのですが清明の意味自体が季節とあまりかかわりがないようですね。日本ではそろそろ春の陽気が感じられる頃でお花見の季節ですが、「花冷え」もある季節です。
また清明から穀雨の前日までの期間を清明と呼ぶことがあります。ソメイヨシノが満開となりお花見のシーズンですし、後半は八重桜の咲く頃でまさに各地でのお花見のシーズンとなります。
4月17日、満月(Full Moon)「Full Pink Moon(フル・ピンク・ムーン)」!
「Full Pink Moon(フル・ピンク・ムーン)」
北米ではネイティブ・アメリカンでは”Full Pink Moon”と呼ばれます。【ブルームーン】ではなく【ピンクムーン】!?この「ピンク」は日本の桜ではなく、”Moss Pink”(野生の芝桜)のことです。または”Ground phlox”(野生のフロックス:クサキョウチクトウ)の咲く季節の月という意味です。初春を告げる花で、北米ではこの季節に山や丘がピンク色に染まるそうです。日本では4月のピンク色といえば桜ですが、感覚的には一面がソメイヨシノで染まる山というところでしょうか。それほどの桜はなかなかありませんが那須香大阪天文台の近く「滝谷公園」はまさに一山ピンクに染まります。近鉄長野線、滝谷不動駅からすぐで、近鉄長野線「川西」ー「滝谷不動」ー「汐の宮」間でも走行中に東側の車窓から見えます。
「Full Sprouting Grass Moon(フル・スプローティング・グラス・ムーン)」
これは草の芽吹く月という意味です。春の訪れを告げるという名前です。
「Full Fish Moon(フル・フィッシュ・ムーン)」
この”Fish”魚は日本ではなじみのない「アロサ(Alosinae)」というニシン科の魚のなかまで、産卵のために川を遡上する生態があります。北米では「シャッド”Shad”」と呼ばれることもあります。バージニア州ではこのシャッドの遡上の漁の季節からさまざまな行事があるそうです。最近は河川の改修で遡上できなくなったところもあり、保護活動もあります。日本では遡上といえば鮭ですが、こちらも河川問題がありますのでそのような感じでしょうか・・・。ただ鮭の場合は秋から冬が遡上の季節です。
4月17日 春の土用の入り
「土用」とは雑節のひとつ、もともとは中国の思想、「陰陽五行説」によるもので、五行説では万事が「木、火、金、水、土」でできていると考えられそれらの「気」が活発になる季節をあてはめ、春には木気、夏には火気、秋には金気、冬には水気と四つを割り当てました。残った「土」、土気はそれぞれの季節の変わり目に割り当てることとしたのです。これが「土用」です。土用の期間は年に4回あり、土気が盛んになるので、土木に関することや建築などでの穴掘り等の土を動かすことが禁忌とされたのです。「雑節」のひとつでもあり、有名なのは立秋前の夏の土用で、土用の丑の日に鰻を食べて夏の暑さを乗り切ろうとすることです。各土用の入りの日があり、最終の日は土用明けで節分となります。季節の変わり目を意味し、今では太陽の位置(黄経)を基準に決められています。(定気法)
春の土用の入りは太陽黄経が27°になるとき(09:43)です。土用明け節分(立夏前の節分)は5月4日で翌日は立夏です。雑節は日本の気候風土にも合わせてあり、この頃は季節の変わり目で体調を崩しやすいとされています。春の土用は寒い冬から暖かくなる春へと季節が変わるという季節の変わり目、また衣替えなどの節目でもあります。食べるとよいものなどが(夏土用の鰻のように)紹介されたりしていますが五行思想を無理に当てはめたりしているものなので科学的な意味はありません。バランスの良い食生活やじゅうぶんな睡眠などの方が重要です。
4月20日 穀雨
天文学では太陽の位置、黄経が30°になるとき(11:24)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。田畑で穀物を植える用意ができ、春の雨が降って育むころとされています。三月中でもあります。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚からずれがあります。日本ではこの頃から特に雨が多くなるとはいえません。むしろ水田に水を引くのは梅雨入り前というイメージですね。日本ではそろそろ春の陽気が深まり、もうこの頃には寒さを感じることがなくなるという季節です。
また穀雨から立夏の前日までの期間を穀雨と呼ぶことがあります。ゴールデンウィークもあり、晴れる時もあれば雨の日もありという行楽シーズンでもあります。
4月25日~28日 月と土星、火星、金星、木星がならぶ
夜明け前の南東の空で土星、火星、金星、木星がならんでいます。ここを25日には土星、26日には火星、27日には金星、28日には木星と月が通過してゆきます。
4月29日 水星が東方最大離角
水星が太陽から東側にいちばん離れた位置、東方最大離角の位置となります。金星と水星は地球より太陽の内側をまわる「内惑星」ですが東側と西側に離れた位置が見えやすくなります。金星は離角が大きいので最大離角を気にしなくても観察できますが、水星は離角が小さいので普段は観察しにくく、この最大離角前後が観察のチャンスとなります。東方最大離角のときは太陽から見て東側に離れるので、夕方の西の空低く見えます。
4月の情報(満月の詳細は上記)
1日 新月.朔(New Moon)
2日 二日月(Paper Moon)
3日 三日月(Waxing Crescent Moon)
9日 上弦(First Quarter Moon)
13日 十三夜(Waxing Gibbous Moon)
17日 満月(Full Moon),望(Full Wolf Moon)
16日 十六夜(暦ではこうなります)
17日 立待月
18日 居待月
19日 寝待月
20日 更待月
23日 下弦
29日前後 有明の月(Waning Crescent Moon)