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2022年(令和4年)7月の星空 七夕、くじら座「ミラ」が極大、バックムーン、スーパームーン、小暑、大暑

2022年7月の星空

金星が夜明け前の東の空に見えています。27日には細い月とならんで見えます。月の初めごろは水星も見えます。木星は夜中すぎに東の空に見えます。18日~19日には月とならびます。火星もしだいに接近し、夜半過ぎには見えてきます。22日には月と接近します。土星は夜遅くに東の空から昇り、夜明け前まで見えます。15日~16日には月と並びます。14日の満月は「フル・バック・ムーン」ともよばれます。またインドでは「グル・プルニマ」という祭日です。また今年でみかけの大きさがいちばん大きくなる「スーパームーン」となります。暦では7月2日が半夏生、7日が七夕、小暑、20日が土用の入り、23日が大暑です。

 

7月2日 半夏生

天文学では太陽の位置、黄経が100°になるとき(5:47)、また雑節のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。この方法になる前は夏至から数えて11日目としていました。名前の由来は半夏(はんげ)、烏柄杓(からすびしゃく)という薬草が生える頃というものもあれば、ハンゲショウ(カタシロクサ)という植物の葉が半分白く化粧をしたように見える頃というものもあります。

農業にとって重要な節目の日で、この頃までに田植えを終えておく、畑仕事を終えておくものとされています。またこの頃には大雨が降ることが多く、「半夏雨」と呼ばれます。

大阪府の南河内地方や奈良県の香芝市周辺では小麦粉を混ぜた餅にきな粉をつけて食べ、農耕を終わったことを祝う風習があります。

 

 

7月7日 七夕

今のカレンダーでは7月7日の七夕は梅雨の最中となってしまいますが、本来の七夕(旧暦の七夕)は初秋の行事でした。中国から伝わった行事で、中国の南北朝時代の記述にも牽牛、織女が合うと記述され、針仕事の上達を願って7本の針に糸を通して供えたとされています。日本に伝わったのは奈良時代で、日本にもともとあった棚機津女(たなばたつめ)の伝説と合わさったものと言われています。これも本来は旧暦7月15日の「お盆」の行事と関連するものといわれています。

また現在のカレンダーでは織姫(こと座のベガ)、彦星(わし座のアルタイル)が天頂付近に見えるのは夜中であるため、各地の神事は7日未明に行われるものが多くなっています。

 

7月7日 小暑

天文学では太陽の位置、黄経が105°になるとき(11:38)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。暑さが本格的になり始めるころです。六月節でもあります。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚から少しずれがあります。日本ではこの頃は梅雨の後半にに入る時期です。

また小暑から次の大暑の前日までの期間を小暑と呼ぶことがあります。このころには梅雨明けとなる季節です。

 

7月14日 満月(Full Moon)「Full Buck Moon(フル・バック・ムーン)」その他多数の呼び名が!今月はインド「グル・プルニマ」(13日)!「スーパームーン」

グル・フル・ムーン 2019年7月16日21時ごろの月

2019年7月17日21時ごろの月

「Full Buck Moon(フル・バック・ムーン)」

北米ネイティブ・アメリカンの部族では「Full Buck Moon(フル・バック・ムーン)」「雄鹿月」と呼ばれます。意味は雄鹿の新しい角が生えてくる時期だからです。ビロードのような皮を押して新しい枝角が生えてくる季節ということです。日本とは種が違いますからちょっと理解しにくいかもしれません。野生の雄鹿(Buck)の月です。

別名、「Full Thunder Moon(フル・サンダー・ムーン)」,「Full Hay Moon(フル・ハイ・ムーン)」「Full Mead Moon(フル・ミード・ムーン)」「Full Honey Moon(フル・ハニー・ムーン:ハネムーン)」「Full Rose Moon(フル・ローズ・ムーン)」「Guru Full Moon(グル・フル・ムーン)」「Guru Purnima(グル・プルニマ)」

「Full Thunder Moon(フル・サンダー・ムーン)」

これは雷の月です。北米では暑く乾燥した月なのですがその割りに激しい雷雨が発生する頻度が高いのがこの7月です。この名前も北米大陸の気候を表した月の名前です。日本では7月下旬ごろに積乱雲がよく発生し、龍神祭もこの時期にあります。

「Full Raspberry Moon(フル・ラズベリー・ムーン)」

北米ではラズベリーはちょうどこの時期に収穫を迎えます。野生のラズベリーは自然の恵みでもあります。

「Full Salmon Moon(フル・サーモン・ムーン)」

日本では鮭の遡上は秋とされていますが、北米では早いところでは7月から始まります。鮭の遡上が始まる月ということでこの名前がつけられたそうです。

「Full Hay Moon(フル・ハイ・ムーン)」

これは「干草月」です。北米とヨーロッパでは乾燥した月、干草の月でもあります。農家の間では当然この名前ということなのですが、一般にもしられていているそうで、それが驚いたのですが・・・「干草アレルギーの季節」として知られているそうです。日本で言えば「花粉症の季節」といったところでしょうか?この知られ方には・・・う~ん複雑ですねぇ・・・。

「Full Mead Moon(フル・ミード・ムーン)」

Meadとは「蜂蜜酒」で蜂蜜やホップ、スパイスなどで造られます。ヨーロッパでは6月下旬ごろにもっとも甘い熟したハチミツが獲れることから、この時期にMeadが造られるということです。(私は飲んだことありませんが・・・)熟した甘いハチミツからこの蜂蜜酒が造られる時期の月という意味だそうです。

「Full Honey Moon(フル・ハニー・ムーン)」

Honey Moon(ハニームーン:ハネムーン)は「蜜月」とも呼ばれますが、甘い新婚生活、新婚旅行の意味で使われる言葉です。本来、ヨーロッパでは夏至の頃、6月下旬ごろに最も甘い蜂蜜が収穫できるのでこの夏至の時期をさしていたらしいのですが、一説によると「June Bride(ジューン・ブライド)」と関係し、結婚して最初に訪れる月、7月を「Honey Moon」と呼ぶようになったそうです。甘いハチミツが熟した頃と考えるとなるほど!となります。

「Full Rose Moon(フル・ローズ・ムーン)」

あれ?この名前は6月では?と思うかもしれません。実はバラの花の意味もありますが、バラの花のように赤く見える月という意味もあります。緯度の高い地域は夏至の頃に月の高さが最も低くなります。夕日が赤く見えるのと同じ理由で、この時期少し赤く見えることから、ヨーロッパの緯度の高い地域では、7月の満月もこう呼ばれることがあります。またヨーロッパでは6月下旬から7月にかけて野生のバラの季節にあたるのでやはりこれも理由になります。

「Guru Full Moon(グル・フル・ムーン)」「Guru Purnima(グル・プルニマ)」

これはインド・ネパールのジャイナ教・ヒンドゥー教の呼び名で、「教祖満月」「導師満月」という神聖な満月だそうです。Ashadhaというヒンドゥー暦の満月が「Prunima」でこの日に祭日とされているそうです。Guru Pooja(教祖プージャ)、「導師」を讃える神聖な祭日の満月(Prunima)です。また、ジャイナ教では特にマハヴィーラがゴータマを弟子とし、自らを「グル」としたこと、また仏教でもゴータマ・シッタルーダ(ブッダ)へのオマージュ、仏教開祖の日とされ重要な満月です。

今年はカレンダーでも13日が「グル・プルニマ」です。満月は日本時間で24日の3時38分ですがインドの時差はマイナス3時間30分、ネパールの時差は3時間15分!【時差(標準時)は1時間ごとではないんです!】今年は13日の夜から14日にかけての夜が満月の夜となります。グル・プルニマは満月になる時刻まで計算して決められます。ちなみに「グル・プルニマ」の発音は「ニ」にアクセントをつけてインドの方は発音されていました。

インド料理「シタル(富田林)」のランチ(お忙しい中ありがとうございました。)

スーパームーン

スーパームーン

月と地球の平均距離は約38万kmです。しかし月は地球のまわりを楕円軌道で周回しているため、月と地球の距離が近いときと遠いときがあります。近いときは36万km以下、遠いときは40万km以上になります。

月が遠いとき

月が近いとき

この近いときに見える見え方の違いは地球から見ると、月は約14%大きく見え、役30%明るく見えます。

月の大きさの違い

しかし月の見かけの大きさは約30分、これは腕をいっぱいに伸ばした先に持った5円玉の穴の中に入るくらいしかありません。これが14%、しかも半年ほど間隔があいており見分けることは肉眼では不可能です。実は「スーパームーン」は天文学用語ではありません。星占い占星術でのことばです。天文学的な意義はないのです。スーパームーンと題していかにも大きな月の写真が見られますがそのほとんどは合成写真です。

それでも月が大きく見えたという方も多いでしょう。これは満月は夕方早い時間、低く見えることが関係しています。

月が低いときは建物などと比べて見るので月は大きく感じられ、月が高いときは広い空と比べるので月は小さく感じられます。つまり人間の目の錯覚なのです。

 

7月15日~16日 月と土星がならぶ

7月15日の夜遅くから翌日16日の夜明け前にかけて月と土星がならびます。見えるのは東~南の空です。

2022年7月15日~16日東の空

2022年7月15日~16日東の空(印刷用)

7月19日 月と木星がならぶ

未明から夜明け前にかけて、月と木星がならびます。東~南東の空です。

2022年7月19日~23日東の空

2022年7月19日~23日東の空(印刷用)

 

7月20日 夏の土用の入り

「土用」とは雑節のひとつ、もともとは中国の思想、「陰陽五行説」によるもので、五行説では万事が「木、火、金、水、土」でできていると考えられそれらの「気」が活発になる季節をあてはめ、春には木気、夏には火気、秋には金気、冬には水気と四つを割り当てました。残った「土」、土気はそれぞれの季節の変わり目に割り当てることとしたのです。これが「土用」です。土用の期間は年に4回あり、土気が盛んになるので、土木に関することや建築などでの穴掘り等の土を動かすことが禁忌とされたのです。「雑節」のひとつでもあり、有名なのは立秋前の夏の土用で、土用の丑の日(2021年は7月28日)に鰻を食べて夏の暑さを乗り切ろうとすることです。各土用の入りの日があり、最終の日は土用明けで節分となります。季節の変わり目を意味し、今では太陽の位置(黄経)を基準に決められています。(定気法)

夏の土用の入りは太陽黄経が117°になるとき(01:41)です。土用明け節分(立秋前の節分)は8月6日で翌日は立秋です。雑節は日本の気候風土にも合わせてあり、この頃は季節の変わり目で体調を崩しやすいとされています。夏のの土用は猛暑が続き体調を崩しやすくなるという季節の大きな変わり目です。土用の丑の日に鰻を食べるとよいと言われ、この時期ではどこでも鰻一色となりますが、これは丑の日の「う」にひっかけたものです。一説には江戸時代の学者、平賀源内が夏に売り上げが伸び悩んだ鰻屋のために広めたというものがあります。バレンタインデーやホワイトデーの先駆けのようなものですね。同じようにうがつく梅干しなどが紹介されたりしていますが五行思想を無理に当てはめたりしているものなので科学的な意味はありません。バランスの良い食生活やじゅうぶんな睡眠、適度な冷房などの方が重要です。

 

 

7月20日 冥王星が衝

準惑星、かつては惑星のひとつとして知られていた冥王星が観測の好機である衝の位置となります。

外惑星の見え方

外惑星の見え方(印刷用)

星座ではいて座にありますが明るさは14.9等と大きな望遠鏡でも観察は困難です。

 

7月22日 月と火星がならぶ

未明東の空低く~夜明け前の南東の空で火星と月がならびます。

2022年7月19日~23日東の空

2022年7月19日~23日東の空(印刷用)

 

7月23日 大暑

天文学では太陽の位置、黄経が120°になるとき(05:07)、また二十四節季のひとつでありその日のことを言います(この太陽の位置から定めることを「定気法」と呼びます)。最も暑くなるころという意味です。六月中でもあります。これも元は中国内陸地域の気候から日本に伝わったものですから、日本の気候、感覚から少しずれがあります。日本での暑さのピークはもう少し後になることが多いのです。

また大暑から次の立秋の前日までの期間を大暑と呼ぶことがあります。このころには梅雨明けを迎え、晴天が多い時期ですが急な雷雨も多い時期です。また小暑から大暑の期間に暑中見舞いを出します。立秋(2022年は8月7日)を過ぎると残暑見舞いとなります。

 

30日 午後8時ごろ、みずがめ座δ(デルタ)南流星群とやぎ座α(アルファ)流星群が極大(ピーク)

30日午後8時ごろ、みずがめ座δ(デルタ)南流星群とやぎ座α(アルファ)流星群が極大(ピーク)となります。それぞれ1時間あたりの数は数個~十数個程度ですがほかの流星群とあわせればかなり多くの流星を見るチャンスとなります。今年は前日のの7月29日が新月で、明かりの影響がありません。

 

 

30日の夜中には放射点(輻射点)が東の空から昇ります。放射点(輻射点)から各方角に飛んでいくように見えますので、できるだけ広い範囲を見るようにしましょう。やぎ座α(アルファ)流星群は数は少ないものの、明るい流星が出現するので市街地でも見えるときがあります。

 

7月の情報(満月の詳細は上記)

1日 三日月(Waxing Crescent Moon)
7日 上弦(First Quarter Moon)
11日 十三夜(Waxing Gibbous Moon)
14日 満月(Full Moon),望(Full Wolf Moon)
14日 十六夜(暦ではこうなります)
15日 立待月
16日 居待月
17日 寝待月

18日 更待月

20日 下弦

26日前後 有明の月(Waning Crescent Moon)

29日 新月.朔(New Moon)

31日 三日月(Waxing Crescent Moon)

 

★那須香大阪天文台の星空情報★

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