カノープスが見えた!しかも天文台事務所の前!
昨日の記事で、後でみようかな・・・という「カノープス(Canopus)」が見えました!!
本当かな?見間違いでは?と望遠鏡で検証しました。
確かに恒星です。色がオレンジ色に見えるのは「夕日が赤い」ことと同じです。これがけっこう重要でして、プラネタリウムではカノープスは「白」です。ところが実際に見ると赤く見えるんです。これは地上からの高度がわずか3度ほどしかないからです。つまり地球の大気のせいです。
そしてこの「大気差」も重要で、プラネタリウムでは計算どおりの位置です。私の自宅兼事務所前からですと計算位置は方位角177度52分(180度が南:南中)高度は2度45分となりますが、大気差を考慮すると高度は2度59分となり、15分の差が出ます。これは月の視直径、約30分の半分にもなりますので、「予想以上に高くよく見える」ということになります。
コンパクトデジカメでズームしてみるとよくわかります。非常に低い位置ですがさすがシリウスに次いで、2番目に明るく見える星だけあってはっきりと見えました。
なぜ見えた??
では何十年もいてなぜ見えなかったか?なぜ見えたのか?を考えてみました。まずカノープスが日本から見えるというより、見えにくい理由は・・・
- 南中時の地上からの高度が低く、東京でも2度、大阪でも3度。沖縄なら見えやすい。
- 低いので日本は山が多く、市街地では建物もあり障害物が多く見えにくい。
- 低いほど雲の影響を受けやすい。晴天でも遠くのわずかな雲が大きく影響する。
- 「よほど条件がいいところでないと見えない」と思い込んでいる。
今回同じ地点で状況を見ると、何と方位角179度でハイキング名所の岩湧山(いわわきさん)のすそ野にかかってしまうし、東は近くの嶽山(だけやま)が172度ほどまで迫っています。つまりわずか7~8度の範囲!これが見えにくい原因・・・それにここにはパチンコ店の看板が昨年まで設置されていました。昨年から、肉眼では見えないのですが、写真や望遠鏡で天の川がぼんやり写るようになったのはこの24時間ついている照明が大きな原因かもしれません。(パチンコのお店が不景気なのは気の毒かもしれませんが・・・)
さらにこの向こうには三石山、さらに高野山と山があり、冬は雪雲がかかりやすいことも原因で、なかなか見えにくかったようです。
カノープスは思ったより見える!見るには「標高」が重要!
この雲や明かりや障害物を克服するのはやはり「標高」です。1500mから2000m級の山に行ければいいのですが、自宅の標高は100m、それでも山との標高差はかなり有利になります。市街地でも展望タワーは夜8時から10時ごろまで開いているところが多いと思います。