七夕まつり

今日は7月7日、「七夕」です!・・・と喜びたいところですが・・・天候がそれどころではないですね・・・

これは昔の暦「旧暦(太陽太陰暦:月をメインに太陽の年もあわせたもの)」での7月7日では真夏だったからです。2018年では8月17日が旧暦の七夕で、こちらは「伝統的七夕」とも呼ばれています。「棚たな」に「機(はた)」織物を奉納するという言葉からきていますが、中国から伝わったもので、日本でも「おりひめ」「ひこぼし」伝説が各地に伝わっています。

七夕まつりいろいろ

全国で七夕まつりを行うところは数多くありますが、まず有名なのは東北、仙台の七夕まつり、こちらは2018年8月6日~8月8日。これは旧暦の七夕に近い日ですね。(下記公式HP)

仙台七夕まつり

有名なところでは平塚七夕まつり、こちらは2018年7月6日~8日。これは今のカレンダーにあわせてます。(下記公式HP)

第68回湘南ひらつか七夕まつり

あと3大七夕まつりには候補が二つ!?

まずは愛知県安城市です。こちらは2018年8月3日~4日で、これは少し早めですが旧暦に近い日付ですね。(下記公式HP)

第65回安城七夕まつり

そしてこちらも愛知県一宮市、こちらは2018年7月26日~29日。これは・・・新暦、旧暦の間ですね。(下記公式HP)

第63回おりもの感謝祭一宮七夕まつり

あれ?関西は・・・・まあ何でも「3大」にする必要はありません。最近はやはり日本の古都として「京都」がなかなか。何しろ開催エリアもいろいろで時期も2018年8月1日~15日の間で、エリアによって違いますが、やはり古都だけあって旧暦基準です。

京の七夕

織姫と彦星は1年に1度会える?

「おりひめ」星 こと座のベガ

さて、ここからは天文の話です。「織姫星」はこと座のアルファ星「ベガVega」という名前もあります。太陽の仲間「恒星」のひとつで、自ら光を出しています。温度は1万度近くあります!地球から見た明るさは多少変光しますが0等星。夏の大三角のひとつですし、とても明るく目立ちます。距離はおよそ25光年ですから、地球に光が届くのに25年かかります。

つまり・・・今日見えている「おりひめ」は25年前の姿なのです!若き日のおりひめの姿ということに・・・いやお子様には生まれる前ですよね。

「ひこ」星 わし座のアルタイル

一方の「ひこぼし」はわし座のアルファ星「アルタイル」という名前もあります。また中国から伝わった名前をもとに「牽牛星(けんぎゅうせい)」と呼ぶこともあります。温度は7000~8500度くらいですので白く見えます。地球から見た明るさは0.76等、つまり1等星ですし、こちらも夏の大三角のひとつです。距離はおよそ17光年ですから、地球に光が届くのに17年かかります。17年前の「ひこぼし」を見ているということになります。この「光年」というのは時間の単位ではなく距離の単位で光が1年かかって進む距離のことで約9兆5000億km・・・約10兆kmもの距離。まさに天文学的な数字です!

では「おりひめぼし」-「ひこぼし」間の距離は・・・というと約14.4光年。光の速さで14年と5ヶ月もかかることになります。

すると、光の速さを超えることはできない(「ワープ」とか「ゲシュタム・ジャンプ」とか「転送!」とかは現実は無理として)ので14年5ヶ月ごとにしか・・・お互い近寄っても7年以上か・・・と考えてしまいますね。まあ恒星の年齢はわりと若いアルタイルでも35億年くらい寿命があると考えるとそれぐらいでもいいのかもしれませんが・・・

若き日の「おりひめ」「ひこぼし」をお互い見ている!【たんぽぽ娘】

光はいつも途絶えることなく出ています。晴れてさえいれば恒星、星座の星たちは見ることができますね。つまりお互いみつめあっている光は14年5ヶ月前のもの、つまり「あなたの14年5ヶ月前の姿を見ています・・・」ということなのです。これは「ヒッパルコス」という観測衛星のおかげで正確な距離を出せた成果でもあるのですが、考えてみるとお互いの14年5ヶ月前の姿で会っている・・・つまり自分は14年5ヶ月年齢を重ねてしまっていることになります。

若き日の自分を見られていることがわかっていても、それでもお互いわかりあえるのでしょうか・・・実は有名なSF小説ロバート・F・ヤングの【たんぽぽ娘】の有名な一節もそんな感じかなと思います。

「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」

実際の恒星の誕生年はひこぼしが数億歳、おりひめが4億歳前後と想定されますから少し違いはありますが、もしその星の周りに惑星があり、そこに生命がいて、さらにお互いに知っていれば・・・いや夢物語ではなく、ベガには実際に惑星も発見されていますので、「歳を超えた出会い」も考えられなくはありません。

もしそんな生命があったら14年5ヶ月の年月の差は二人にどんな愛を見せるのでしょうか・・・もしかしたら「七夕まつり」が1000年以上続いているのですからそれくらい「愛があれば」・・・と思いたいですね。

もうひとつ「歳」の「差」なんて!

「おりひめぼし」が「北極星」になる!・・・「北極星」は北の空の「北極星」だろう!と思うかもしれませんが実は北極星はいつも同じではないんです!

季節ができるわけ

それは季節とも関係ありまして・・・地球はまわっています。二つの意味で・・・自分自身がまわる「自転」と太陽のまわりをまわる「公転」です。この自転の軸が公転する軌道の面に垂直ならば地球の位置によって太陽のみかけの高さはほぼ同じになるのですが、自転の軸「地軸」がこのように傾いています。およそ23.4度の傾きです。この軸の北側が「今」向いているのがこぐま座アルファ星。今の「北極星」です。この軸は回転していまして、向く先が毎年少しずつ変わっています。これを「歳差運動」と呼んでいます。今はこぐま座アルファ星ですが、キトラ古墳などに描かれている「昔の北極星」はこぐま座ベータ星。1000年単位で見ると違う星になります。そして、いまからおよそ1万2000年後、北側の軸はこと座のベガ、つまり「おりひめ星」が北極星になるのです。

今から1万2000年後の恋人たちは明るく輝くベガを「北極星」と呼ぶのでしょうか?それともそれまで「七夕まつり」が続いていれば「おりひめぼし」と呼ぶのでしょうか?「おりひめ北極星」でしょうか?「歳差」はこんなことも見せてくれるのです。

天の川とおりひめ(右下)とひこぼし(左上)

そしてその明るい北極星となった「おりひめ」のまわりをずっと「ひこぼし」がまわっているそんな1万2000年未来の「七夕まつり」はどんな世界になっているのでしょうか・・・

私は科学的な考えをする立場なのですが・・・それでも今日、七夕の日はこんなことも考えてみたりします。やはり・・・まわりから言われる「ロマンチックなお仕事」という一面も大切なのでしょう。

ちなみに・・・「たんぽぽ娘」を知るきっかけは・・・アニメ「CLANNAD」の「TOE(Theory Of Everything)」です。m(_ _)m・・・あれも宇宙物理学と家族愛がテーマのいい話でした!