「災害からの復旧」で以前より便利にできれば

今回の台風21号により、10cm屈折鏡用の架台が水没しましたので、アイピースの高さ調節可能な架台が限定されています。

しかし、アイピースの高さが高い大型反射望遠鏡は対応できませんでしたが、それを「デジタル・バリアフリー化」できないかというプロジェクトです。これを前倒しにすることで、すべての望遠鏡でバリアフリーを実現する。「災害を機会にさらに前に進む」ことにしました。

大型望遠鏡のデジタル・バリアフリー化とは

通常の観望会では望遠鏡に「アイピース(接眼レンズ)」をつけて行います。

これではアイピースに目をつけてみなければなりません(あたりまえですが・・・)。これが生の光で見るという天体観望会の醍醐味でもあるのですが、車椅子の方などでは大型望遠鏡など、高い位置のアイピースには届きません。また小さなお子様では「覗き方」がわからない場合も多いのです。

それを上図のように手元にあるディスプレイで映して見るということです。光学的に延長するには固定施設が必要ですのでデジタル信号つまり【Wire】でつなぐというものです。

通常惑星「撮影」には観測用CCDカメラなどで撮影しますが、これは観望会と機材の組み合わせが異なり、また後での加工を前提としたものです。これではリアルタイムにはなりませんし、他の方と同条件とは程遠いものです。

今回成功した理想的な組み合わせ

理想的には眼視条件と同じで眼の代わりにそのままカメラをつけられれば・・・レンズつきデジタルWebカメラで。これが今回成功したものです。

他の方法の試行

最近は安価なデジタルアイピースが販売されていますが、これは月はOKですし、惑星もある程度なれた個人の観望用では使えますが、一般の観望会には物足りません。

これまで最も効果的、かつ容易なのはデジタルアイピースとバーローレンズを使ったものでした。

アイピースとの交換だけで使えますが、固定方法などの問題で焦点のずれが生じやすい方法でした。

焦点のずれが発生しにくいのはやはりこの方法ですが大きなアダプターをつけなおさなければならないのが問題です。現場対応はかなり難しいものでした。

デジタル・バリアフリー・カメラシステム

まず、今回製作したカメラ部分です。一般用のWebカメラに「カメラホルダー」を取り付けました。

デジタル・アイピースとの違いは交換式のカメラレンズがついていることです。

これは観望会のアイピースの上からかぶせるだけです。ピント調整は必要ですがこれはカメラ側レンズでも可能です。つまり即応可能ということです。

2018年9月10日、曇天の雲の合間から土星と火星が見えましたが、土星はすぐに雲の中に入りました。

いつもの惑星写真はこちら。

土星2018年9月10日

撮影はこの方法です。

これはカメラのズームで拡大してますので、大きく見え、また「トリミング」で一部だけを画像にしていますのでみかけ上大きく見えます。

火星2018年9月10日

 

火星もこのように大きいのですが、シーイングは最悪に近い条件。なにしろ雲の合間です。おかしなかたちになっています。

いよいよ曇天の晴れ間の中、悪条件の観望会と同じ条件で、一度眼視で確認した後にデジタル・アダプターをかぶせてピント調整した動画です。

眼視とほぼ変わらず、また見えやすい感じでした。端末はWindowsPCやタブレットでも可能です。

41cm望遠鏡ではそのまま口径に応じた見え方になるでしょう。

とりあえず、1回目の実用実験は成功です。今後は見る方のディスプレイなどを検討しますが、タブレット、WindowsPC、プロジェクターでの投影などいろいろなパターンが考えられます。撮影もなかなかスマホでは難しかった方も、表示されたディスプレイを写せばリアルタイムで撮影可能です。可能性が広がりました!