6月28日は満月、そして最近はいろいろな月の名前がつけられているようです。最も有名なのが「スーパームーン」。これはアメリカの占い師さんがつけたものをNASAが月の距離の変化のニュースとしてとりあげたことから広がったことがわかっています。

2018年6月28日の「ストロベリームーン」

 

そして「6月の満月」を「ストロベリームーン」「ローズムーン」「ホットムーン」と呼ぶそうですが・・・この語源がいろいろあるようでして、ネイティブ・アメリカンで呼ばれていたという説、北欧で伝わっているという説があります。この語源についてかなり間違った話がインターネットで流れています。

「ストロベリームーン」はもともとはネイティブ・アメリカン「アルゴンキン族」で伝わっていた野生イチゴ収穫ができる季節の満月を「Full Strowberry Moon」と呼んだそうです。「フルストロベリームーン」が正確な名前で、イチゴのように「赤い」という意味はないそうです。望遠鏡で見た夜遅くの月もこのように赤くありません・・・あくまで季節の目印だったんです。

ほんとうに赤い「ストロベリームーン」は見える?

まずは2018年6月28日、大阪南部、午後7時40分、肉眼で見たのと同じ、望遠鏡を使わない「ストロベリームーン」をみてみましょう。

2018年6月28日 19:40の月

!!!!赤い!!!(オレンジですかね・・・)

これ、フィルターを一切かけていません。夕日のように真っ赤です!これは月のみかけの高さが低いとき、夕日が赤く見えるのと同じ原理です。

夕日や低い月が赤くみえるのは・・・

光も「電磁波」の一種、月の光にも虹の色と同じいろいろな色、「波長」が違う「電磁波」があわさって見えているのです。波長が短いのは「青」これは地球の大気(空気)のちりなどに乱反射されます。これは「レイリー散乱」と呼んでいます。青空、空が青く見える理由です。「青い光は空気にいろいろなもの(ちり)があって、ちらばってしまうので空が青く見える」(お子様向け)

夕日や低い月が赤いわけ

でも空高くに太陽や月があるときには、通ってくる大気が少ないのでちりも少なく、青い光も届きます。

ところが太陽や月が低いところにあると、光はたくさんの大気を通ります。ちりも多くなりますので青い光はちらばってしまいやすく、私たちの目には届きにくくなります。

では波長が長い「赤」は・・・ちりに乱反射されにくいのです、ちりを通り抜けやすい!となると、月や太陽が低く、たくさんの大気を通っても私たちの目には届きやすい、つまり赤い光はよく見えます。つまり赤やオレンジ、そして低いほど波長の長い赤い光が目立つので赤く見えます。「太陽や月が低いところにあると、空気にいろいろなもの(ちり)がたくさんあって、青い光はちらばってしまって目にとどきにくくなる。赤い光はちらばりにくいのでたくさん目にとどく。たくさんあるほうがよくみえますから赤く見える!」(お子様向け)

日本からだと昇ってくるときや沈むとき、わずかの時間ですが、月が赤く見えますし、低いところなので地上の建物や山などとくらべて見ると大きく見えてしまう(目の錯覚)ので赤く大きく見えます。でもこれは季節に関係ありません。夏でも冬でも同じです。「赤い色が強く反射されて見える」というウワサは嘘ということになります。

なぜ「ストロベリームーン」が有名になったのか

赤とは関係ない「ストロベリームーン」。ですが赤く見えるという理由でつけられた名前があります。北ヨーロッパでは「ローズムーン」という呼び方があります。こちらはバラの季節だからという理由と「バラのように見える月」だからです。確かに・・・

2018年6月28日 19:40の月

赤、オレンジのバラの色です。そして「これを見ると幸せになれる」という言い伝えもあります。低く見えるときならいつでも幸せになれるじゃないか!と思いますが・・・・それは「日本」だからです。

満月なのに月が見えるのがわずか4時間!?

満月は一晩中見えます太陽と反対側に月がありますのであたりまえです。「夕方には東の空、そして夜中には南の空高く、そして夜明け前には西の空に」これは教科書でも習う月の動きです。

ただし【日本の教科書】です!

北欧ではどうでしょうか?北欧の夏といえば【白夜】ですね!そう・・・夜が極端に短い!しかもロンドンでもそうですが、ヨーロッパでも北に行くほど、太陽が高くなる夏、特に夏至の6月、月や惑星は南の空低くにしか見えません!フィンランドなどではこの時期に満月が見えるのは、よく見わたせるところでも夜中をはさんで前後2時間、そう低く見えにくいところでわずか数時間しか満月が見えないのです。見えたとしてもとても低い位置、色は当然・・・【赤く】なります。

日本と同じ緯度くらいでしたら赤く見えるのは昇るときと、沈むとき。ですが緯度が高いヨーロッパ北部では、6月の夏至のころは夜が短く、満月のときであっても低く、赤やオレンジ色の月になってしまいます。

日本からは一晩中見える「ストロベリームーン」「ローズムーン」も見ることができるのは夜中の見晴らしのいいところだけ・・・「見えると幸せになれる」貴重な満月となります。

こうしてヨーロッパでは幸運の月「ストロベリームーン」「ローズムーン」となったのです。

 

実は日本や中国でも「カノープス(りゅこつ座アルファ星)」を「老人星」「長寿星」と呼んでいます。こちらは冬の南の空低く、日本の九州南部でも見えてもわずか数時間、もし見えれば「健康で長生きできる幸運の星」という言い伝えがあります。おおいぬ座のシリウスに次いで明るい白い星なのですが・・・

低い山の間にわずかに見える「赤い星」これが「カノープス」です。

季節や時間で見える星や月がかわる「1日として同じ夜空は無い」というのがいちばん大切なことだと思います。

7月28日は「Full Back Moon」「Thunder Moon」そして・・・

ちなみにネイティブ・インディアンの呼び方では7月28日の満月は「Full Back Moon」と呼ぶそうです。このBackは後ろではなく「角鹿」のことで、狩猟の季節らしいですね。「Thunder Moon」という呼び方もあるようですが、季節の変わり目、雷雨の季節ということだそうです。

 

でも一つ忘れていませんか?日本では7月のことを「文月(ふみづき)」と言いますよね!7月7日の七夕から、または稲穂踏みということからということですが、旧暦の呼び名ですから1月ほどずれています。今年の旧暦の七夕、「伝統的七夕」は8月17日です。日本では旧暦、太陽太陰暦を使っていましたから「月」という文字言葉には特別の意味があります。

最近はゲームなどで旧海軍の駆逐艦の名前「文月」でも知られています。トラック島空襲で沈没し、今でも残っているそうです。また6月は「水無月(みなづき)」梅雨・・・これも1月ずれていますから今の暦では7月から8月ですが、「無」はかな文字の「の」のことで水の月、水田耕作の水の月からです。これも駆逐艦の名前にもなっていますが、「和菓子」で有名ですよね!