ペルセウス座流星群が2020年は8月12日午後10時ごろにピーク(極大)

流星群の中で「三大流星群」というのがあります。「しぶんぎ座流星群(1月初旬)」「ペルセウス座流星群(8月中旬)」「ふたご座流星群(12月中旬)」です。その中でも夏の夜、お盆休みや夏休みの時期と重なり、夜でも寒くないときに見られるのがペルセウス座流星群です。

見えました!8月12日

2020年8月12日23時14分

そもそも流星(流れ星)って?

「流星(流れ星)」と呼んでいますが「星」ではありません。ちょっと話がそれますが、日本では火星や木星も「星」と呼びますが、英語圏では星座の星、つまり恒星は「star」、木星や火星などの惑星は「planet」と区別しています。つまり英語では火星は「star」、「星」ではないということになります。

流星の正体は「砂粒」

宇宙にはたくさんの「天体」があります。太陽のような、星座を作る自ら輝く「恒星(こうせい)」、地球や火星、木星のように恒星のまわりをまわる「惑星」、そして惑星のまわりをまわる月や木星の「ガリレオ衛星」のような「衛星」、そして冥王星に代表される「準惑星」、もっと小さく、探査機「はやぶさ」の目的地となった「イトカワ」、「はやぶさ2」の目的地となった「リュウグウ」のような「小惑星」、そして「ハレー彗星」に代表される「彗星」などです。

しかしそれよりももっと小さく、数ミリから数センチほどの大きさの小さな砂粒のようなものもたくさんあります。もちろん宇宙がそんなもので満たされているわけではありませんが、ところどころに、まばらにそのような小さな砂粒「塵(ちり)」があります。地球の軌道、通り道付近にあるちり、これは流星のもとになるので「流星物質」と呼ばれています。

地球の軌道付近にあるということは、地球に「ぶつかる」こともあるということです。「ぶつかったらたいへん!」・・・いえ大きさが数ミリから数センチです。地球には大気(空気)がありますから、この「流星物質」は地球の大気と衝突して燃え尽きてしまいます。

大気、つまり「空気」と衝突するというのは大したことないと思うかもしれませんが、地球が太陽のまわりをまわる速度は秒速30km、時速にすると約10万8000km!そんな速度で衝突すると大変な衝撃となります。そしてちりの方も同じような速度で運動していますからそれ以上の速度になることもあります。

その衝撃波により高温となり気化(つまり蒸発してしまう)し、一部は高温により「プラズマ」になります。このプラズマはお互いに結びつくのです。

このプラズマが再結合するとき、結びつくときに発光つまり「光る」のです。この光が「流星(流れ星)」となって見えるのです。つまり流星といっても地球の大気の中で光っているのです。

その高度は地上約100km大気圏の中なのです。国際宇宙ステーション(ISS)が地上400kmくらいですから宇宙ステーションから見ると下で光っていることになります。

ちなみに流星はなぜか英語では「meteor」または「shooting star」なのですが・・・こっちは星ではないのに「star」ってついてますね。人から見てどう見えるかですからね。

さて、この「流星物質」は均等にばらまかれているわけではないのです。「流星群」ではない日にも流れ星は見ることができます。これは「散在流星(さんざいりゅうせい)」と呼ばれていて、天の川が見えるようなきれいな空では時々見ることができます。

流星群のもとは「彗星」

では短期間、時には短時間に集中して数多く見える流れ星、「流星群」はどのようなしくみなのでしょうか?

実はこの流星物質のもとになるものの多くが「彗星」であると考えられています「彗星」「ほうき星」です。

彗星は「ほうき星」とも呼ばれ、有名なのは76年周期で太陽のまわりをまわっている「ハレー彗星」です。この彗星はたくさんあり、太陽に近づくと長い尾が見えることから「ほうき星」とも呼ばれます。

ヘール・ボップ彗星

この彗星はもともとこのよう「ほうき」のかたちではありません。

ラブジョイ彗星

この彗星は「尾」がなくぼんやりしています。これは彗星「本体」が見えているのではなく、彗星のまわりをとりまくガスやちりが見えているのです。彗星本体は氷がほとんどで、大きくても数キロメートルほどしかありません。「天体」としては小さいですね。

氷とちりの彗星

砂まみれの氷

砂がまじった氷が宇宙に!これが彗星の正体です!(私がつくったすなまみれの氷です!)宇宙っぽく背景が黒だとわかりませんね・・・では・・・

「き、汚い・・・」と言わないでくださいね・・・これがあの「ハレー彗星」のような彗星の本体のモデルです!太陽から遠く離れているときにはこのような汚・・・いや塵のまじった氷なのです。

汚いだけではありません!これが太陽に近づくと、氷が解けて蒸発し、中のガスとちりが飛び出します。これが彗星の「尾」なのです。

ヘール・ボップ彗星

この写真でも2本、2種類の尾が写っています。上のほうにはやや青い色「イオンの尾(イオン・テイル)」が見えます。これは太陽と反対方向に吹き飛ばされたように見えます。これが気化したガスのイオン化したもの。そしてより明るく白く、下に少し広がったように見えるのが「ダストの尾(ダスト・テイル)」つまりダスト「ちり」なのです。

彗星から流星へ!

さてこの彗星ですが太陽から離れているときは氷とちりのかたまりですが・・・

これが太陽に近づくと氷が溶け、ガスとなり、中のちりも外に出てきます。

そのまま彗星は太陽に近づく軌道に沿って進みます。すると彗星の軌道に沿ってちりが残されます。

名前は「ほうき星」でほうきのかたちですが掃除するのではなく、砂粒、ちりをばらまいていきます!まったく逆です・・・

そして彗星の軌道に沿ってちりのたくさんある「帯」ができます。

このちりの帯とに地球が通りかかると・・・たくさんのちりがある中に地球がきますので、当然、たくさんのちりが地球とぶつかります。つまり、流星がたくさん出現する「流星群」となるのです!

この元になる彗星のことを流星群の「母天体(ぼてんたい)」と呼んでいます。有名な流星群と「母天体」の関係では、「ペルセウス座流星群(母天体:スイフト・タットル彗星)」「しし座流星群(母天体:テンペル・タットル彗星)」「ジャコビニ流星群(母天体:ジャコビニ・ツィナー彗星)」「オリオン座流星群(母天体:ハレー彗星)」などがあります。また、「ふたご座流星群」の母天体は小惑星「ファエトン」とされていますが、この「ファエトン」はもとは彗星だったものです。「氷」の部分を失った「元彗星」だとされています。

「流星群」は同じではない!

「三大流星群」と言いました。「しぶんぎ座流星群(1月初旬)」「ペルセウス座流星群(8月中旬)」「ふたご座流星群(12月中旬)」です。その他にも2001年大出現した「しし座流星群」「オリオン座流星群」など流星群はたくさんありますが、それぞれ「特徴」つまり個性があります。

ペルセウス座流星群の特徴は「速度が速い」ことと、「流星痕(りゅうせいこん)」を残すものが多いということです。

速度の速い流星の場合

流星物質の軌道、つまり元の彗星の軌道が、進行方向と地球の進行方向が逆の場合、流星の速度も速くなります。ペルセウス座流星群、しし座流星群などの場合このようになり速度が速くなります。

速度の遅い流星の場合

流星物質の進行方向が地球の進行方向と同じ場合、相対的な流星の速度が遅くなります。それでも秒速数万kmほどですから流星にはなりますが「ゆっくり流れる流星」となります。ジャコビニ流星群やきりん座流星群などがこれにあたります。

流れ星の流れたあと「流星痕」

「流星痕(りゅうせいこん)」は明るい流星が流れたあとにしばらく残像のように、ぼんやり雲のように薄く流星の通り道に沿って「痕跡」が見えることです。

2001年しし座流星群の流星痕

「火球(かきゅう)」と呼ばれる明るい流星の後には見えることが特に多いのです。ペルセウス座流星群はこの「火球」もしばしば見られることで知られています。

しし座流星群の火球と流星痕左上は木星

 

今年、2020年は午後10時から夜中に条件がいい!

毎年話題になるペルセウス座流星群ですが、今年の極大(ピーク)は12日午後10時ごろと予想されます。そして流星をみえにくくする最大の原因は【月明かり】です。空が明るいと、暗い流れ星は見えません。月が明るいと月のあるところだけでなく、周辺まで空が明るくなってしまいます。街から離れた山の上など、星が美しいところでも月明かりがあると星が見えにくくなるのと同じなのです。

 

その月明かりですが、8月12日が「下弦」。つまり、流星群が見えるピークには月が見えない。つまり月明かりの影響がない。これは最高の条件となります。

しかし12日は日付が変わるころには東の空から月が昇ってきます。月明りがあると暗い流星が見えにくくなります。日にちがたつほど月の出が遅くなり、時間が遅くなるほど後で書きます「放射点」は高く、流星の数も増えます。観察は12日夜10時ごろから夜中までがチャンスということになりそうです。ちょっと短く感じるかもしれませんが多少月明りがあっても明るい流星は見ることができます。

もうひとつ「ペルセウス座流星群」はピーク前後の1週間ほどは、流星をあまり見たことがない方でも数が多くおすすめできます。ペルセウス座流星群は「スイフト・タットル彗星」が「母天体」つまり元になる天体です。彗星(ほうき星)の軌道(通り道)に彗星から出た直径数ミリほどの流星物質(砂粒のようなものと思ってください)がばらまかれています。しかし均等にばらまかれているのではなく、たくさんあるところと、少ないところがあります。ピークが複数ありますので、まとめてパラパラと流れるときがあるのです。

 

2020年8月12日午後10時ごろの北の空

どうしたよく見えるか・・・「特定の方角にとらわれない!」

「ペルセウス座流星群」の名前はペルセウス座ガンマ星のあたりに「放射点(輻射点)」があります。これはここから流星が流れてくる方向ということです。「どの方角を見ればいいか?」とよく尋ねられますが、「特定の方角にとらわれず、できるだけ広い範囲を見てください!」と答えています。

2013年、ほぼ全天ビデオ撮影したものです。

このようにあらゆる方向に見えます!特定の方向だけ見ないように気をつけましょう!

寝てみましょう!

ペルセウス座流星群にいちばん適した観察方法は「上向きに寝転がって視界を広く見る」ことです。夏、暑い時期ですので地面にシートなどを広げて寝ても寒くありません!これがペルセウス座流星群にオススメの方法です。寝てみると自然と視界が広がります。しかもペルセウス座流星群の特徴は速度が「速い」ことです。一瞬でスッ!と通り過ぎますから見逃さないようにするためにも姿勢を安定させる、つまり寝てみるのが確実ということになります。

市街地、郊外でもチャンスはあります!

数が多ければ中には明るいものも多いということになります!ですからあきらめずに見てみましょう!できれば空が開けたところ、そして周りに明かりがないところで見た方が流れ星だけでなく星はきれいに見えます!

場所はできるだけ明かりが少なく、障害物がないところを選びましょう。もちろん周辺の注意や、侵入禁止されているところに立ち入ったりしないでください。

「天の川が見える」ようなところですといちばん良いのですが、街の中でも見えるものもありますからあきらめてしまうのはもったいないですね。

安全にはじゅうぶん気をつけてください!また夜遅くや深夜早朝の観測に行くときには運転にも注意してくださいね!

 

そのほかにも8月はまだまだ!土星、月の接近なども!

2020年(令和2年)8月の星空 木星、土星、今年のペルセウス座流星群は?