史上初、ブラックホールの撮影に成功 ― 地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜む巨大ブラックホールに迫る

ビッグニュースが世界を大きくにぎあわせた4月もそろそろ終わり、超大型10連休がやってきますね。

天候はこれからしばらく雨が続きそうなので、このブラックホール撮影に大きな役割を果たした「EHT」イベント・ホライズン・テレスコープについてです。

これは解説にもありますが、「地球規模の望遠鏡」です。

これはどういうことかというと、「望遠鏡の性能は口径で決まる」これが那須香大阪天文台やそのほかの望遠鏡でも共通なのです。

ちなみに那須香大阪天文台での最大口径は41cm望遠鏡

41cm望遠鏡

この「41cm」というのは中に入っている鏡の直径のことで口径と言います。

41cmは鏡の直径(口径)

これが大きければ大きいほど望遠鏡はよく見えます!よく「何倍」とかいう倍率とか「○○製」はよく見えるというのは、実は望遠鏡の性能には関係ありません。

つまり直径が大きいほど(望遠鏡の太さが太いほど)よく見える望遠鏡ということになります。大きければたくさんの光(EHTでは電波)を集められますので弱い光(電波)も見えますし、「分解能」と言って細かいようすを見ることができます。つまり遠くの見えにくいものを、はっきりと見ることができるということになります。

「倍率」は倍率が高く出る接眼レンズ(のぞくほうのレンズ)を入れれば口径の小さな望遠鏡でも何百倍も出せますが、ぼやけてしまい、見ることが難しく、使い物にならないこともあります。大きな望遠鏡は倍率に関係なく、よく見ることができるのです。しかし・・・口径の大きな望遠鏡は反射望遠鏡でも鏡が重くなり、大きさも大きくなります。設置するのもたいへんですが、持ち運びの場合は非常に困難になります。那須香大阪天文台は経験豊かなスタッフの整備と、堅牢な構造で持ち運びを可能にしてきました。

那須香大阪天文台の観望会が人気で他と異なるのは、この望遠鏡の口径も理由のひとつです。41cm以外の望遠鏡も口径が大きく見えやすいからです。今回25cm望遠鏡を再就役させたのも大型化し、お客様によりよく見ていただくためです。そしてさらにもう1台20cm超級を再就役させる計画を進めています。

理想は地球の大きさ

この望遠鏡も大きければ大きいほどいいのですが、限界があります。たとえば口径1000mの望遠鏡ができればすごくよく見えるのですが、そこまで大きな望遠鏡は建設不可能です。そこで電波ならいくつかの電波望遠鏡データを組み合わせてみることができます。日本も参加している「アルマ望遠鏡」がそれにあたります。

合成して直径何kmもの望遠鏡!!

アルマ望遠鏡とは

さらにそんな地球にある望遠鏡をいくつもの国が協力して合成すれば・・・・

合成して地球規模の望遠鏡!!

【イベント・ホライズン・テレスコープ】

これがイベント・ホライズン・テレスコープの原理となるわけです!

規模は違いますが、那須香大阪天文台の望遠鏡が大きいのもちゃんと理由があるのです。よりはっきりと見ていただきたい。市街地では見えない遠い宇宙を見ていただきたい!それが理由なのです。設置など時間がかかったり、重かったりしますがそれなりの価値はあるのです!

さてブラックホールがあるM87銀河・・・連休中にはなんとか写真に・・・できたらバリアフリーシステムで撮影したいものです!!

問題は天候・・・22日は晴れていたのですが、すぐに月が明るく見えてきました。

4月22日午後8時ごろの東の空

4月22日午後8時ごろの西の空

この三角の中にM87があります!

4月23日午前3時ごろの南の空

4月23日午前3時ごろの月

夜中にはかさをさした月になってしまいました!また撮影できしだいブラックホールのある銀河写真お届けいたします!