さすがに雨には勝てません。(勝つつもりもありませんし・・・)実は「雨の日」も好きです・・・天文家にあるまじき発言ですが、観望会のとき、中途半端に曇って見えないくらいならいっそ雨で、「雨天プログラム」で全力で楽しむ方がいいか!と思います。

それに雨の日は望遠鏡も休み、こんなときに望遠鏡の整備点検をしないといけません。何しろ主望遠鏡だけで18台ありますし、ファインダーやサブスコープなど含めると、鏡筒だけで40本以上ありますし・・・その他、撮影機材まで含めると・・・

ということでいつもインスタやプラネタリウムで使っている写真撮影している15cm鏡を整備です。

いつも撮影(ネクタイ含めて)に使っている15cm鏡です。鏡筒はビクセンR150S、架台はミザールAR-1です。

まずは鏡筒です。

移動、グラウンド砂地での使用、観望会でお子さんにぶら下がられたりと過酷な使用でかなり痛んでいます。那須香大阪天文台では接眼部は週に1度、調整は月に1度、オーバーホールは年に1度くらいです。

ファインダーの対物レンズ・・・汚い・・・アルコールをたっぷり含ませたクリーニング用紙で

このようにきれいになりました。次に主鏡裏の引きねじをすべてゆるめて主鏡をセル(枠)ごとはずします。

汚い・・・・・・・

ここで登場!救世主!

商品名はあえて隠してます。台所にある「アレ」です。銘柄はなんでもいいんです。食器用中性洗剤です。

大胆に!「オレ消されちゃわない!?すりおろされたしされちゃわない!?」なんて考えずに!

洗浄後

水でサッと流すと・・・あらこんなに!!まさにCMそのもの。では斜鏡も。

洗浄前

洗浄後

このようになります!

さて・・・次は組み立て、何でもバラすより組み立てが手間なんですよね・・・

 

真ん中の引きねじに締めこむと取り付け完了です。

主鏡も位置に合わせておいて引きねじをしめていきます。(あらかじめ油性ペンで印をつけています)

ファインダー脚のネジをしめなおし、ファインダーを取り付けます。これでカタチにはなりましたが調整です。

このように軸がずれた状態です。これが同心円になった状態にしなければなりません。構造上「ニュートン式」反射望遠鏡はこれがずれやすい構造です。これを斜鏡の3本のネジ、主鏡の3本のネジで合わせながら同心円になるようにします。ねじが3本なのでXY軸移動という単純なものではなく、斜めになることを考えて合わせる・・・この作業がたいへんなので反射望遠鏡は一般の方にはおすすめしないのです。慣れれば30分くらい、初めてなら1時間以上悪戦苦闘することになります。

5分後・・・このように見口からみて同心円になりました。那須香の場合、キャンプ場など山岳地で輸送途中で光軸がすれたときには現地で再調整することも多いので、「光軸調整は5分以内」が原則です。「40秒で支度しな!」です!1本あたり40秒、6本で240秒、4分ですね!

架台に取り付け、バランス調整のうえ、ギアの噛み合わせ調整をして完成です!うちはニュートン式反射望遠鏡が多いので、たいへんですが、これも仕事です。皆様により美しい星空を見ていただくために・・・

そしてさらに「改造」を・・・

今日はこちらを・・・